翌日、麗華は白い紙に願いを書き出した。
筆を滑らせながら、彼女は少し微笑んだ。
これらの願いは、長い間、心の引き出しにしまっておいたものたちだった。
一、街に一緒に出かけたい。
二、郊外での野遊がしたい。
三、星空を一緒に見たい。
四、奏楽を聴きに行きたい。
五、海を見たい。
六、温かな羹を一緒に作りたい。
七、馬で駆けたい。
八、書庫に一日閉じこもりたい。
九、一緒に夕陽を見たい。
十、
書き終えて、麗華はしばらく最後の一行を見つめた。
十番目の願いだけは、他とは性質が違った。
それは麗華が自分のためのものではなく、延徳帝のための願いだった。
三年間、彼が自分を遠ざけていた理由を麗華は知っていた。
好きな人がいるのに、望まない結婚をさせられた。
その鬱屈した感情を、どこにも向けられないまま、ただ沈黙で封じてきたのだろう。
紙を折りたたみ、麗華は延徳帝の執務室に赴いた。
扉を叩くと、しばらくして「入れ」という声が聞こえた。
延徳帝は広い机に向かっていた。
書類を手にしたまま顔を上げ、麗華を見た。
「願いを書き留めたものを持ってきました」
麗華は紙を差し出した。延徳帝はそれを受け取り、広げた。
彼の目が文字の上を滑っていくのを、麗華は静かに見ていた。
一行一行を読んでいく彼の表情は、ほとんど変わらなかった。
しかし最後の行に来たとき、わずかに動いた。
「十個目が書いてないが」
と言った顔は、眉が寄り、また離れた。
「最後の願いは……今は言えません」
「なぜ言えない」
「時がきたら。お伝えします」
「そうか」
「では、順に叶えていただけますか」
「ああ」
「ありがとうございます、陛下」
麗華が一礼して部屋を出ようとすると、延徳帝が声をかけた。
「正妃……体の具合はどうだ」
短い問いだった。
しかし麗華には、その問いがどれほどの重さを持っているかがわかった。
彼がそれを訊くことがどれほどのことか。
「今のところは、さほど辛くはありません。ありがとうございます、お訊きくださって」
延徳帝はそれ以上何も言わないまま、麗華は静かに部屋を出た。
廊下に出てから、彼女は一度だけ、長くゆっくりと息を吐いた。
筆を滑らせながら、彼女は少し微笑んだ。
これらの願いは、長い間、心の引き出しにしまっておいたものたちだった。
一、街に一緒に出かけたい。
二、郊外での野遊がしたい。
三、星空を一緒に見たい。
四、奏楽を聴きに行きたい。
五、海を見たい。
六、温かな羹を一緒に作りたい。
七、馬で駆けたい。
八、書庫に一日閉じこもりたい。
九、一緒に夕陽を見たい。
十、
書き終えて、麗華はしばらく最後の一行を見つめた。
十番目の願いだけは、他とは性質が違った。
それは麗華が自分のためのものではなく、延徳帝のための願いだった。
三年間、彼が自分を遠ざけていた理由を麗華は知っていた。
好きな人がいるのに、望まない結婚をさせられた。
その鬱屈した感情を、どこにも向けられないまま、ただ沈黙で封じてきたのだろう。
紙を折りたたみ、麗華は延徳帝の執務室に赴いた。
扉を叩くと、しばらくして「入れ」という声が聞こえた。
延徳帝は広い机に向かっていた。
書類を手にしたまま顔を上げ、麗華を見た。
「願いを書き留めたものを持ってきました」
麗華は紙を差し出した。延徳帝はそれを受け取り、広げた。
彼の目が文字の上を滑っていくのを、麗華は静かに見ていた。
一行一行を読んでいく彼の表情は、ほとんど変わらなかった。
しかし最後の行に来たとき、わずかに動いた。
「十個目が書いてないが」
と言った顔は、眉が寄り、また離れた。
「最後の願いは……今は言えません」
「なぜ言えない」
「時がきたら。お伝えします」
「そうか」
「では、順に叶えていただけますか」
「ああ」
「ありがとうございます、陛下」
麗華が一礼して部屋を出ようとすると、延徳帝が声をかけた。
「正妃……体の具合はどうだ」
短い問いだった。
しかし麗華には、その問いがどれほどの重さを持っているかがわかった。
彼がそれを訊くことがどれほどのことか。
「今のところは、さほど辛くはありません。ありがとうございます、お訊きくださって」
延徳帝はそれ以上何も言わないまま、麗華は静かに部屋を出た。
廊下に出てから、彼女は一度だけ、長くゆっくりと息を吐いた。



