サマータイムリープ

 蝉の鳴き声が耳障りだと思って目が覚める。


 まだ、僕らは繰り返す夏に囚われている。


 そのことに、僕は喉の奥が詰まるようだった。


 少しだけ顔を動かしてベッドの頭側に置いてある黒いデジタル時計を見ると、八月二十日を示している。次に部屋の入り口にかけられたカレンダーを見ると大きく赤い丸がついた日――八月三十一日まで残りわずかなのがわかる。

 焦りは禁物だ、という言葉があるが、わかっていても残りの日数を考えると早くどうにかしなければいけないという気持ちが頭を占めていく。


 全てが始まったあの日。

 手が届かなかったあの夕暮れ。

 呪いのように繰り返される夏がいつまで続くのか。

 誠はこの夏の真実に気づきつつある。

 僕はどうするべきだったのだろうか。

 エアコンの冷たさか、それともこの先の未来への恐怖か。震える体を抱きしめてベッドの上で丸くなる。


 目尻から流れた涙は静かにシーツに吸い込まれていった。