【6/16追加エピソード更新】ダウナー先輩のあまい条件

※こちらは本編後の追加エピソードとなります!
仕事or学校後にコンビニに寄ったら、ふわふわ髪のDK&超絶イケメンDKに出くわして……という夢小説風味にしあげました。
自分が存在するのはちょっと……という方は、とある女性の話として読んでいただけたら幸いです。
楽しんで頂けますように





「あー、疲れたー……」

 疲れた体を引きずるようにして、駅近くのコンビニへと向かう。一日を頑張った後は、どうしても甘いものが欲しくなる。今日もやっぱり、チョコレートかな。

 雑誌のラックの前を通って、飲料コーナーでペットボトルを1本手に取って。そのままお菓子コーナーへ向かうと、先客がひとりいた。やけに真剣な顔で、棚に視線を巡らせている。男子高校生だ。髪の毛がふわふわしていて、見ているだけでなんだか癒される感じ。

 ふわふわくん(仮)と少し間を空けて、チョコレートのコーナーの前に立つ。ビターなものも好きだし、ホワイトチョコレートも好き。でも今日は、ミルクチョコレートの気分かも。いや、でも昨日もミルクだったな。

 ひとり悩んでいると、ふわふわくんの向こうからもうひとり男子高校生がやってきた。本当に高校生なのか疑わしいくらい、顔が整っている。思わず二度見してしまった。慌てて視線をチョコレートへと戻す。

「真白、決まった?」
「んー……まだ決めきらんくて」
「悩んでんだ? どれとどれ?」
「あそこのさくらんぼのグミと、こっちのチョコが挟まったビスケットです」
「なるほどな。どっちも好きそう」
「そうなんですよ……悠介くん、決めてください」

 分かるなあ、その気持ち。たかがお菓子ではあるけど、悩むよね。ひとりこっそり頷きつつも、ミルクチョコレートに手を伸ばそうとした時だった。

「俺が? 真白が食うのに?」
「そうなんですけど、オレは悠介くんと食べたいけん、悠介くんにも選んでほしかです」

 え、なにそれかわいい。ちょっと訛ってるイントネーションもさることながら、よほどふたりは仲がいいのだろう。言葉の端々に、イケメンくんへの信頼と甘えた心が垣間見える。ほほ笑ましくて、ついこっそり隣を窺う。そこで私はぎょっとしてしまった。イケメンくんがふわふわくんに密着して、顎を頭に乗せていたからだ。ふわふわくんはそれを鬱陶しがることもなく、当然のように受け入れている。

 いや、本当に仲良しなんだね? 男子の距離感って、こんな感じだっけ。

 うっかり声が出てしまいそうになったのを、慌てて手で抑える。その間も、ふたりの仲睦まじい会話は止まらない。

「俺にも分けてくれんだ?」
「へへ、はい。一緒に食べたら、もっとおいしいし嬉しいんで」
「ん、分かる。ありがとな。じゃあ……グミにしねえ? そっちのビスケットのは簡単に作れそうだから、今度やってみる」
「えっ! ほんとですか!? うわ、絶対おいしかあ……」
「ん、じゃあ決まりな」

 どこか得意げに笑ったイケメンくんは、ふわふわくんの髪をかき混ぜてグミを手に取った。レジへ向かう背中を、ふわふわくんが慌てたように追いかける。

「えっ、悠介くん? オレ自分で買う!」
「俺も買うのあるからついで」
「でも……!」
「んー……わるい、もう払い終わったわ」
「そんなあ……じゃあ今度、オレになんか買わせてくださいね?」
「ん、今度なー」

 チョコレートに伸ばした手もそのままに、どうにもふたりの様子を目で追ってしまう。だって気になる。仲良しどころじゃないくらい、仲良くない? ふたりを見てる私の胸は、なんでこんなにきゅんきゅんするわけ?

「よし、帰んぞー」
「悠介くん待って!」

 ふわふわくんがイケメンくんを追いかけるかたちで、コンビニを出ていく。隣に並び立って、ふわふわくんがイケメンくんのシャツをつまむ。あ……その手をずいぶんとスマートに、イケメンくんが握った。そのまま手は離されず、背中に隠すようにしている。けれど、私の位置からはよく見えてしまう。ふたりは顔を少し寄せあって、ほほ笑みあって……ああ、そうか。ふたりはお互いが、大好きで堪らないんだ。それが伝わってきていたから、私まできゅんきゅんしてしまったんだ。

「……なんだろ、今日の疲れがチャラになった気がする」

 やっぱりこっちにしようと、チョコレートじゃなく別のものを手に取る。会計を済ませ外に出て、さっそく口に含んでみる。さくらんぼの甘酸っぱさが、またあのふたりを思い出させた。

「今頃ふたりで分け合って食べてんのかあ。ふふ」

 暮れた空に、組んだ手をぐーっと伸ばす。なんだか、明日も頑張れそうだ。