[映像:都内にある大手出版社の高層ビル。見上げるような外観から一転、内部の資料室へとカメラが入る。蛍光灯のひとつがチカチカと不規則に点滅し、埃の舞う棚には背表紙の褪せた古い文芸誌や単行本が、重苦しく積み上げられている。]
出版社①(元社員の証言・音声を変え、シルエットのみの映像): 「当時の編集長も、仲真さんの担当だった人間も、もうここにはおりません。10年以上も前のことですから・・・。定年で辞めた方もいれば、別の部署へ移った方もいて、気づけば当時の空気を知る人間はいなくなりました。記録? 騒動になった作家の資料は、整理の対象になりやすいんですよ。彼の名前が載った当時の企画書などは、今ではほとんど残っていません」
[映像:別の出版社のロビー。受付の背後にある社名のロゴが、夕闇の中で冷たく光っている。若い社員が、周囲を気にしながら足早に通り過ぎようとする。]
出版社②(若手社員・小声で囁くように): 「・・・正直、関わりたくないんです。あれって、本当に『祟り』なんですか? 先輩たちの間でたまに話題に出るんですよ。仲真先生が亡くなった後、あの神社の近くを通ると、誰かに原稿の催促をされているような気がする・・・とか。冗談半分なんでしょうけど、怖くて。誰もあえて当時の資料を掘り起こそうとはしませんよ」
ナレーション(低く、突き放すような声): 「10年以上という歳月は、事実を風化させるには十分な時間だった。当時の関係者は去り、事件の正確な記録は、組織の記憶から自然とこぼれ落ちていく。だが、言葉を扱う者たちの間には、今も拭いきれない『祟り』の噂が、澱(おり)のように深くくすぶっているのだ。」
出版社①(元社員の証言・音声を変え、シルエットのみの映像): 「当時の編集長も、仲真さんの担当だった人間も、もうここにはおりません。10年以上も前のことですから・・・。定年で辞めた方もいれば、別の部署へ移った方もいて、気づけば当時の空気を知る人間はいなくなりました。記録? 騒動になった作家の資料は、整理の対象になりやすいんですよ。彼の名前が載った当時の企画書などは、今ではほとんど残っていません」
[映像:別の出版社のロビー。受付の背後にある社名のロゴが、夕闇の中で冷たく光っている。若い社員が、周囲を気にしながら足早に通り過ぎようとする。]
出版社②(若手社員・小声で囁くように): 「・・・正直、関わりたくないんです。あれって、本当に『祟り』なんですか? 先輩たちの間でたまに話題に出るんですよ。仲真先生が亡くなった後、あの神社の近くを通ると、誰かに原稿の催促をされているような気がする・・・とか。冗談半分なんでしょうけど、怖くて。誰もあえて当時の資料を掘り起こそうとはしませんよ」
ナレーション(低く、突き放すような声): 「10年以上という歳月は、事実を風化させるには十分な時間だった。当時の関係者は去り、事件の正確な記録は、組織の記憶から自然とこぼれ落ちていく。だが、言葉を扱う者たちの間には、今も拭いきれない『祟り』の噂が、澱(おり)のように深くくすぶっているのだ。」


