■■夜鳴町探索クラブ隊員紹介■■
皆藤朔夜。二年生。怪異も幽霊も不可思議な現象も、すべてデタラメであることを証明するのが目的。見た目は爽やか系イケメンだが、色々と残念。
日上陽。三年生。図書室の住人。ミステリアスなクール系イケメン。町の伝承や噂を独自に調べている。学校にはいるが教室には行かず、いつも図書室にいるらしい。
三枝みのり。二年生。夜鳴町探索クラブのリーダー。オカルト大好き。不思議な現象大好きな女子中学生。黙っていれば可愛い、残念なオタク。
三枝優羽。一年生。幽霊隊員。バスケ部とかけ持ちしているため、今のところ一度も顔を出していない。みのりの弟。スポーツ万能で頭も良くクラスの人気者。
以上、四名(内二名は仮隊員のため、実質活動しているのは二名)。
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まずは依頼主から詳しい話を聞きたいところ。GWに入る前にみのりはそれらしき人物を捜してみたが、『さとうりな』という名前の生徒は二名いた。いたが、どちらからも「私じゃない」と言われてしまったのだ。どちらかが嘘をついているか、もしくは偽名だったか。本人以外は誰もわからない。
「イタズラにしては手が込んでるでしょ? でも仮にイタズラならわざわざ名前なんて書かないと思わない? 他の依頼もそうだけど、名前なんて誰も書いていない。知られたくなければ書く必要なんてないんだから」
「こうは考えられないか? あの掲示板を見た生徒の誰かが、面白半分でやったとかさ」
「……掲示板?」
朔夜の横で眉を顰め、真面目な表情で陽がぽつりと呟く。正面ではみのりが「どうしました、日上先輩?」と首を傾げていた。
「ああ、そっか。ハル先輩は知らないか。掲示板に今回の件とほとんど同じ内容で投稿されてたみたいで。誰でも見られるサイトだから有り得なくもないと思いません?」
朔夜は自分のスマホを取り出して、先程みのりが見せてくれた『夜鳴町の噂をあることないこと語る掲示板』を表示した。画面をじっと見つめて陽はどこか不思議そうな顔をしていたが、朔夜は気にせずにそのまま話す。
「誘っておいてあれだけど、ハル先輩はなんで神隠しに興味があるんです?」
「……どうしてそう思う?」
どうしてもなにも……その言葉に反応しているようにしか見えなかったから?
と、ストレートにいうべきか否か。それとも目が合った回数が多かったからと言うべきか。朔夜がその返答に迷っていると、みのりがずいと前屈みで割って入ってきた。
「もうすぐ十二時になっちゃうよ! そろそろ図書室から出ないと」
「よし、じゃあ帰るか」
朔夜はここまでの流れを断ち切るかのように、すっと立ち上がる。早々に帰ろうとしている朔夜を見上げて「それはダメだよ!」とみのりが止める。
「ギリギリまで校舎内を調査するんだから!」
「なんの手がかりもなく歩き回るなんて、効率悪すぎるだろ 」
どうせ明日も連れ出されるのが目に見えている。頬を膨らませて不服そうにしていたが、最終的には納得してくれた。三人は図書室を後にして階段を下りると、みのりは職員室に鍵を返ししにいった。朔夜と陽は、階段を挟んで逆方向にある正面玄関の方へと向かう。
校舎にはまだ生徒が残っていてもおかしくない時間なのだが、話し声のひとつもしない。しんとしている廊下を歩く自分たちの足音がやけに響いた。
部活動は体育館やグラウンドがメインだろうが、それにしても人の気配がまったくなく、異様な静けさだった。まだ昼間だというのに校舎は薄暗く不気味な雰囲気で、光が遮られているのではないかと錯覚するほどだ。
いつもこんな感じだっただろうか? と朔夜はその違和感に不安を覚えた。
「……どうやら、君に引き寄せられたようだ」
陽は朔夜の肩越しに、薄暗い廊下を遠目で見据えてそう呟いた。図書室から出た瞬間から、すでに狙われていた可能性もある。朔夜が動揺しながらも、現状に対してそこまで戸惑っていないのはなぜなのか。陽にはそれが"なにか"わかっているような言い方だった。
「いや……俺たちに、か」
陽が意味深なことを呟いたその数秒後、ふたりを大きな影が覆った。


