「推し」の待ち受け画面をご本人に見られました

「これも、ここでいいか。」

「あ、はいそこで!わっっ……」



俺がさっき敷いたテーブルクロスが床に伸びていて、それにつまづいてバランスを崩した。



「いっったくない……」

「大丈夫か」

「……!!ごめんなさい!!!」



思った衝撃が来なかったのは、鷲宮先輩が直前て受け止めてくれていたからだった。

不注意で推しに受け止めさせてしまった。最悪だ……



「ほんと、ごめんなさい!制服、汚れてませんか?!」

「俺は全然大丈夫……それより、自分の心配した方がいんじゃね」

「わ!」



見ると、手や袖に絵の具が着いていた。

転ぶ前から付いていたのか、もうカピカピしている。



「わー洗ったら落ちるかな……」

「いや、もう取れるぞこれ」



先輩が絵の具をさわるとぺりぺりと剥がれて落ちた。



「ありがとうございま……す」



袖をさわっていた先輩の手がそのまま俺の手のひらに移動してきた。

とくとくと規則正しい心臓が早まるのがわかる。



え、な……



さわさわと動く指がくすぐったくて思わず先輩に声をかけた。



「せ、先輩……?」

「あ、悪い。俺、バイトあったわ。後よろしく。」

「は………い」



突然我に返ったみたいに、先輩は立ち上がって、教室を出ていった。



「なんだったんだ……今の」



不本意にも熱くなってしまった頬をさっき鷲宮先輩にもらったサイダーで冷やした。

最近、鷲宮先輩が前と違う気がする。

クールで、そっけなくて、人に興味がなさそう、の3点セットを揃えていたはずなのに、実際に出かけると、要領がいい、優しい、それは置いといて、普通可愛いとかすぐ言うのか?手とか触る?



「なんだんだよ、先輩…」



そしてそれに少し喜んでいる自分がいる。



推しとオタクの関係、絶対変わらないと思っていたのはここまでだった。