「推し」の待ち受け画面をご本人に見られました

文化祭5日前、体育祭融合企画の方も進んで、着々と忙しくなってきていた。

俺は今日も放課後に居残りをしてメイド喫茶の看板作りと装飾を手伝っている。



「あと1週間じゃ足りないよこれーー」

「神原ーそっちちゃんと持て!」



最初こそ順調に進んでいると思ったが、装飾、飲食物の発注などなど段取りが多く、あと2週間は準備の時間が欲しいくらいだった。



「うわ、もう5時半じゃん! 私塾あるからごめーーーん!」

「やべ、妹たちの保育園の迎え行かないと、ごめん、あとは頼んだ成瀬!!」



2人は散らばった荷物をかき集め、そそくさと帰ってしまった。



 いいお兄ちゃんかよ…



最終下校時刻まであと30分。

薄情にもみんな帰ってしまってひとりぼっちの教室で作業を進めた。



「だいたい、高2と合同企画とか緊張しちゃうんだよ。まあ、俺らの班は鷲宮先輩だったから良かったけどさあ。要も神原も先に帰りやがって…」



1人でぶつぶつ言いながらお客さん用の机にフリフリのテーブルクロスをかけていると、首筋に急に冷たいものが当たった。



「ひっ…て、鷲宮先輩…」

「暑いだろ、教室」



そう言ってキンキンに冷えたサイダーをくれた。

本当にモテるコツを網羅しているとつくづく思う。



「ありがとうございます。先輩、まだ帰ってなかったんですね。」

「まあ、遥斗がまだ残ってるってさっき新原たちが走りながら言ってたから見に来ただけだ。」

「尊い…じゃなくて、あの、もし良かったら手伝ってくれませんか?」

「おう、何すればいい?」

「今、テーブルクロスかけてて、そっちお願いしてもいいですか?」

「わかった」



やっぱり2人だとペース上がるな。



猫ではなく神の手を借りた気分でどんどん準備を進めていく。

先輩があまり話さない分無駄がなく、着々と終盤へと近づいていた。