そんな夢を見ていた。
スマホのアラームで目が覚めた。
殺風景な部屋が視界に入る。
都内のワンルームマンション。
君が彼女と結婚する前は何度も遊びに来てくれた。
家に残ったのは、君の香水の匂いと使い切りの歯ブラシと君からもらったお下がりの服。
お下がりの服は僕にはちょっと大きくてぶかぶかになってしまうから、部屋着にしている。もふもふの白いニットに雷みたいなインパクトのあるデザインが施されている。自分じゃ買わないかなってデザイン。
でも、君はよく似合っていたね。背も高くて、腰の位置も高くて足は長くすらっとしていてモデルみたいだから。
昨夜、結婚式から帰ってきてからご飯も食べずにお昼過ぎまで寝ていたようだ。
ハンガーにかかる結婚式用のスーツに自然と目がいく。
君がハマってたガチャガチャのキーホルダーのいくつかは僕の家の玄関に飾られたまま。
君が最後にこの家を出ていく時に飾ってくれたんだよ。
『ほら。これならひとりで家に帰ってきてもこの子たちがいるから寂しくないだろ?』
君は僕の家から出ていく時にそう言ったね。
それ以来だよ。
君にもらったガチャガチャのキーホルダー。カエルと猫とハムスターの手乗りサイズの置物に、一人暮らしなのに
「行ってきます」と「ただいま」
を言うようになったのは。
見るたびに君のことを思い出して辛くなるから、いっそ見えない棚に隠してしまおうかと思ったけど。
やっぱり見えるところに置いておきたい。
この子たちがいるから大丈夫。
僕は君の隣にいれなくても、自分の人生を歩いていく。
君と同じ歩幅にはなれないけど、きっといつかまた追いつける日を目指して、歩き続けるよ。
歩き続けた先に君が待っていてくれるから。
君のいるところが僕の居場所だった。
だけどこれからは。
自分で居場所を見つけて生きていくよ。
また会う時に、笑顔で話したいから。
どんな時も君の幸せを祈っているよ。
君が世界で1番幸せになりますように。
出逢えてよかった。
ありがとう。僕の初恋。
ありがとう。愛した君へ。
君と歩んできた人生を氷砂糖のように甘く心に溶かそう。
そうすればきっと君を1番近くで思い出せるから。
Fin



