今日のHRの主題は委員会決め。これがなかなか難しい。
なるべく仕事が少ない委員会に入りたいが、ペアが面識のないやつだと一年間が気まずい。
無難な、目のつかない、委員会に…
「図書委員会に立候補してくれる人、挙手してくださーい。」
さっき決まった学級委員の女子が間伸びした声で言った。
言い終わるか終わらないか、食い入るように俺は手を挙げた。定員は2名、話しやすいくやつが来てくれれば…
「あ!ありがとうございまーす。ではA組の図書委員は、五十嵐さんと蒼井さん、お願いしまーす。」
決定を知らせる拍手が、教室を包んだ。
なんでだよ…
俺が目線を向けると、お隣からにこっと美しく口角を上げた笑顔が飛んできた。
『好きなんだけど。』
昨日の放課後、夕焼けに照らされて言われた言葉がフラッシュバックしてきた。なんてタイミングだ。
まさかこいつ…
不本意にも耳が熱くなるのがわかる。惚れたわけじゃない、告白なんてされたことがないから、びっくりしただけ…
「叶汰――おまえまた図書委員かよーーそろそろ俺と委員会やんね?てゆか、無所属でよくない?」
「ごめん、一応推薦狙ってるから。」
「そうでしたあー、、てか、蒼井って委員会とかやるんだ。」
やってきた亮雅にわざとらしい大きな声から、急に小声になって言われた。
「さ、さあ…やっぱ楽なのがいんじゃね。」
ほてりを悟られないように、わざと雑な答え方をした。これから蒼井凪との委員会生活が始まる。
4限目。わーわーという騒がしい雰囲気に包まれた体育館で、バスケットボールの授業で試合をしていた。
卓球部といえど、運動はそこそこしかできない俺はチームの足手纏いとして君臨していた。隣のコートでは蒼井凪がチームのエースとして君臨している。顔も良くてスポーツもできたら、本当に少女漫画のヒーローだよ…。
「五十嵐!!パス!!」
「えっ………‼︎‼︎」
ゴッ
鈍い音が響いた。あたまがぼわんとする。よそ見をしていたら硬いバスケットボールが俺の頭を直撃した。
「いった……」
「ごめーーーーーん!!大丈夫?」
ボールを投げた主が謝りにやってきた。
「俺がよそ見を…してたか………」
***
どのくらい気絶していたのか…目が覚めた時には、殺風景な白い部屋に横たわっていた…
保健室か…よそ見をしてたらボールに当たったんだっけ…
「…起きた?」
まだ寝ぼけた意識の中で無駄にかっこいい声の方に顔を向けると、蒼井凪がベッドサイドの椅子に座っていた。
「蒼井…?なんで…」
「さっきのバスケの授業でボールに当たって、そのまま倒れたから連れてきた。」
蒼井凪が?俺を?
「見てただろ。」
困惑を隠せない俺に、さらに難解な言葉をふっかけてくる。俺、今、東大生クイズに出てますか。
「見てたって、何を。」
「バスケ。俺がやってるとこ。」
あー、、見てました。モブキャラ五十嵐叶汰にバスケを見られてました、なんて別に嬉しいことじゃない。こいつが気づいていたのが不思議なくらいだ。
「じ、上手だなって思って。俺そんなふうにできないから。」
頑張って絞り出したお世辞とも本音とも言いようのない言葉に、果たしてなんと言ってくるか…
「すげえうれしい…」
………え?
背もたれも何もない、座り心地の悪い椅子に座った蒼井凪は、少し暖かい色にまった綺麗な顔を右手で覆った。すらっとしながらもしっかり骨のでた、ごついようなごつくないような指の隙間から見えるはにかんだ表情は、こちらにもはっきり見えた。
なんだよそれ…すごい惚れてるやつみたいじゃないか。
蒼井凪はそのまま右手をおでこに持ってゆき、体育の後の少し濡れた前髪をどかした。たったこれだけの動作でここまで様になるとは。やはり、顔面の強さはものを言う。
「あのさ、」
体勢を崩さないまま蒼井凪は口を開いた。
「好きって言ったこと…覚えてる?」
「………………うん。そりゃ、もちろん。」
側から見たら30秒にも満たない間だったけれど、俺が蒼井凪の気持ちに気づくのには十分過ぎるほど長い時間だった。
「はあーーーーーーーーーーーーー」
突然、蒼井凪は大きなため息をついた。
「マジで緊張した。引かれてるんじゃないかって。目が覚めたら昨日壁ドンしてきたやつが、保健室の椅子で目が覚めるのを待ってました、なんて、どんだけ少女漫画シチュだよ、って思われてるんじゃないかって。」
あ、いや、思ってますね。全然。
「引いた?」
でも…思ってるけど…
「まさか。」
引かない。
「びっくりした?」
「したけど、」
けど…
「嫌じゃない。全然。」
ほんとに、これは本音。嫌じゃない、全く。
「っは、よかった。」
またしても綺麗に笑った。でも今度は少し子供っぽいかな。
こんなふうに笑うんだ。
「俺、告白されてた…?」
再確認のような質問をしてしまった。
「うん。今までで1番勇気出した。」
こんなに正直な蒼井凪ははじめて見た。
授業はいつも寝ていて、帰りには女子に話しかけられ、というかいつも誰かには話しかけられ、その度にめんどくさそうにいたのに。
「今すぐ五十嵐をなんとかしたいとかそうゆうことじゃなくて、なんつーか、、友達、になって欲しいかも。」
“ともだち“という単語がやけに大きく聞こえた。あまりの素直さと純粋さビームに当てられて俺は見事に真っ赤になっていた。
相手は男なのに。
「どう…?」
またしても間が空いてしまい、蒼井凪が答えを促した。こくこく、と音が出そうなくらい俺は頷いた。
「やった。」
きゅっと拳をつくって胸の前に手をやる仕草をして、蒼井凪はニコッと笑った。
「よろしく、五十嵐、、、叶汰、、でもいい?」
「うん。えっと、凪。」
「うん。覚えてないかと思ってた。俺の名前。」
なぎ、たった今、友達になったやつの名前を心の中で反芻する。
風が止んだ静かな時間、教室では名前の通り静か…とういか無反応を貫いているが、実際は凪いでなんかいない、表情も仕草もちゃんと人間らしい。
「よろしく、、な。」
授業中の保健室から、俺たちの関係が変わりました。
なるべく仕事が少ない委員会に入りたいが、ペアが面識のないやつだと一年間が気まずい。
無難な、目のつかない、委員会に…
「図書委員会に立候補してくれる人、挙手してくださーい。」
さっき決まった学級委員の女子が間伸びした声で言った。
言い終わるか終わらないか、食い入るように俺は手を挙げた。定員は2名、話しやすいくやつが来てくれれば…
「あ!ありがとうございまーす。ではA組の図書委員は、五十嵐さんと蒼井さん、お願いしまーす。」
決定を知らせる拍手が、教室を包んだ。
なんでだよ…
俺が目線を向けると、お隣からにこっと美しく口角を上げた笑顔が飛んできた。
『好きなんだけど。』
昨日の放課後、夕焼けに照らされて言われた言葉がフラッシュバックしてきた。なんてタイミングだ。
まさかこいつ…
不本意にも耳が熱くなるのがわかる。惚れたわけじゃない、告白なんてされたことがないから、びっくりしただけ…
「叶汰――おまえまた図書委員かよーーそろそろ俺と委員会やんね?てゆか、無所属でよくない?」
「ごめん、一応推薦狙ってるから。」
「そうでしたあー、、てか、蒼井って委員会とかやるんだ。」
やってきた亮雅にわざとらしい大きな声から、急に小声になって言われた。
「さ、さあ…やっぱ楽なのがいんじゃね。」
ほてりを悟られないように、わざと雑な答え方をした。これから蒼井凪との委員会生活が始まる。
4限目。わーわーという騒がしい雰囲気に包まれた体育館で、バスケットボールの授業で試合をしていた。
卓球部といえど、運動はそこそこしかできない俺はチームの足手纏いとして君臨していた。隣のコートでは蒼井凪がチームのエースとして君臨している。顔も良くてスポーツもできたら、本当に少女漫画のヒーローだよ…。
「五十嵐!!パス!!」
「えっ………‼︎‼︎」
ゴッ
鈍い音が響いた。あたまがぼわんとする。よそ見をしていたら硬いバスケットボールが俺の頭を直撃した。
「いった……」
「ごめーーーーーん!!大丈夫?」
ボールを投げた主が謝りにやってきた。
「俺がよそ見を…してたか………」
***
どのくらい気絶していたのか…目が覚めた時には、殺風景な白い部屋に横たわっていた…
保健室か…よそ見をしてたらボールに当たったんだっけ…
「…起きた?」
まだ寝ぼけた意識の中で無駄にかっこいい声の方に顔を向けると、蒼井凪がベッドサイドの椅子に座っていた。
「蒼井…?なんで…」
「さっきのバスケの授業でボールに当たって、そのまま倒れたから連れてきた。」
蒼井凪が?俺を?
「見てただろ。」
困惑を隠せない俺に、さらに難解な言葉をふっかけてくる。俺、今、東大生クイズに出てますか。
「見てたって、何を。」
「バスケ。俺がやってるとこ。」
あー、、見てました。モブキャラ五十嵐叶汰にバスケを見られてました、なんて別に嬉しいことじゃない。こいつが気づいていたのが不思議なくらいだ。
「じ、上手だなって思って。俺そんなふうにできないから。」
頑張って絞り出したお世辞とも本音とも言いようのない言葉に、果たしてなんと言ってくるか…
「すげえうれしい…」
………え?
背もたれも何もない、座り心地の悪い椅子に座った蒼井凪は、少し暖かい色にまった綺麗な顔を右手で覆った。すらっとしながらもしっかり骨のでた、ごついようなごつくないような指の隙間から見えるはにかんだ表情は、こちらにもはっきり見えた。
なんだよそれ…すごい惚れてるやつみたいじゃないか。
蒼井凪はそのまま右手をおでこに持ってゆき、体育の後の少し濡れた前髪をどかした。たったこれだけの動作でここまで様になるとは。やはり、顔面の強さはものを言う。
「あのさ、」
体勢を崩さないまま蒼井凪は口を開いた。
「好きって言ったこと…覚えてる?」
「………………うん。そりゃ、もちろん。」
側から見たら30秒にも満たない間だったけれど、俺が蒼井凪の気持ちに気づくのには十分過ぎるほど長い時間だった。
「はあーーーーーーーーーーーーー」
突然、蒼井凪は大きなため息をついた。
「マジで緊張した。引かれてるんじゃないかって。目が覚めたら昨日壁ドンしてきたやつが、保健室の椅子で目が覚めるのを待ってました、なんて、どんだけ少女漫画シチュだよ、って思われてるんじゃないかって。」
あ、いや、思ってますね。全然。
「引いた?」
でも…思ってるけど…
「まさか。」
引かない。
「びっくりした?」
「したけど、」
けど…
「嫌じゃない。全然。」
ほんとに、これは本音。嫌じゃない、全く。
「っは、よかった。」
またしても綺麗に笑った。でも今度は少し子供っぽいかな。
こんなふうに笑うんだ。
「俺、告白されてた…?」
再確認のような質問をしてしまった。
「うん。今までで1番勇気出した。」
こんなに正直な蒼井凪ははじめて見た。
授業はいつも寝ていて、帰りには女子に話しかけられ、というかいつも誰かには話しかけられ、その度にめんどくさそうにいたのに。
「今すぐ五十嵐をなんとかしたいとかそうゆうことじゃなくて、なんつーか、、友達、になって欲しいかも。」
“ともだち“という単語がやけに大きく聞こえた。あまりの素直さと純粋さビームに当てられて俺は見事に真っ赤になっていた。
相手は男なのに。
「どう…?」
またしても間が空いてしまい、蒼井凪が答えを促した。こくこく、と音が出そうなくらい俺は頷いた。
「やった。」
きゅっと拳をつくって胸の前に手をやる仕草をして、蒼井凪はニコッと笑った。
「よろしく、五十嵐、、、叶汰、、でもいい?」
「うん。えっと、凪。」
「うん。覚えてないかと思ってた。俺の名前。」
なぎ、たった今、友達になったやつの名前を心の中で反芻する。
風が止んだ静かな時間、教室では名前の通り静か…とういか無反応を貫いているが、実際は凪いでなんかいない、表情も仕草もちゃんと人間らしい。
「よろしく、、な。」
授業中の保健室から、俺たちの関係が変わりました。
