無無の声は、情けなく震えていた。  あんな得体の知れない列に並んで、何を言い渡されるのか。天国か地獄か。その「清算」を受けるには、あまりに心の準備が整っていなかった。
 在山も、肩で激しく息をしながら、霧の向こうを見つめてぽつりと言った。 「・・・象が売れてないって言ってもさ」  それは、誰かに向けて放たれた言葉というより、自分自身に言い聞かせるような、頼りない呟きだった。 「『象売ります』って、電話かけてるんやもんな。・・・実際に、相手の耳元で、嘘の言葉を流し込んでたんやもんな」
 言葉にした瞬間、在山の胸の奥で、何かが小さく軋んだ。  現世にいた頃は、電話越しの相手のことなど、ただの「カモ」や「数字」としか思っていなかった。けれど、死という静寂の中に放り出された今、自分が吐き出してきた空っぽの言葉たちが、ブーメランのように自分を追い詰めてくる感覚があった。