名探偵津田の事件簿

東京都のとある古びたビルの2階。
階段を上がると、そこには『津田探偵事務所』と書かれた看板が掛けられている。
その部屋で今日もある1人の男の文句が響いていた。

「あーもう!何で今日も依頼が来ぉへんねん!」

そう言って、キィーッ!っと癇癪を起こしながら髪の毛を掻きむしる男。
彼の名は、津田篤宏。通称、ダイアン津田。
かつてお笑いコンビ『コンビダイアン』のツッコミ担当として活動していた有名なお笑い芸人だったが、ある事件でコンプライアンス違反をしてしまい、現在は売れない探偵として活動している。

「もういい加減落ち着いてくださいよ……津田さん。」

そう癇癪を起こす津田を宥めるのは、スキンヘッドに眼鏡を掛けた男。
彼の名は、南川 聡史。通称、みなみかわ。
お笑いコンビ『ピーマンズスタンダード』の津田篤宏と同じくツッコミを担当として活動していたお笑い芸人だったが、津田と一緒にコンプライアンス違反をしてしまい、現在は売れない探偵の津田篤宏の助手として活動している。

「そう言うても無理なもんは無理やねんって!なんかよう分からんコンプライアンス違反で芸能界追放されて、仕方なく勢いで探偵業を始めたってのに全然依頼が来る気配は無いしさぁ!。」

「仕方ないですよ、まだ探偵業を始めて数ヶ月なんですから。そう焦らんといてください。」

「せやけどさぁ……。」

津田はブツブツと呟くが、何とか落ち着きを取り戻した。
コンプライアンス違反以来、津田とみなみかわにテレビの出演オファーが来ることは無かった。
実質、芸能界を追放された2人は仕方なくコンビで探偵業を始めたのだ。
津田が探偵で、みなみかわは助手として。
けれど現在、依頼の電話や訪問が来ることが殆ど無いため、余裕が無いのだ。

「ハァ……でも、どないする?このままじゃお互い、破産やで。」

「やめてくださいよ……そんな、縁起でも無いこと言うのは。僕にも一応養う家族がいるんですよ?」

「分かってるってそれぐらい。せやけど、このままいくとあり得ん話じゃ無くなるで。」

そう津田が言うと、事務所内の空気がどんよりと重くなる。
お互いその先の将来について不安になっているその時だった。
突然、事務所の入り口のドアが開いて、1人の来訪者がやって来る。