転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

それでも狂喜乱舞して、サフランくんを王族に迎え入れたいと願っている派閥がある。
そのせいで、サフランくんも、私たちと一緒に定期的にルージュ王国の王城に行くことになってしまった。

ジルハルト殿下が廃嫡され、空席となった王太子の座。

他の貴族たちが当然、『至高の魔道具師の血筋』を放っておくはずがない。
だが、それが結果的にサフランくんの平穏を壊す引き金になるかもしれないのだ。
それでも、私の決意は揺るがなかった。

「たとえ、世継ぎ争いが起きても、私がすることは変わらない!」

私は改めて、自分のやるべきことを反芻する。

「私は、ラトレ村のみんなのために全力を尽くすだけだから! みんなと一緒に生きていきたい! みんなを守りたいの!」

ぐっと使命感に火をつける。
決意を新たに、こぶしを握っていると場違いな声が響いた。

「もしかして、あなたが星を司る大精霊、アウリス・クロエ?」
「あなたは……」

村を豊かにすればするほど、その噂は遠くへ広がる。
新たにラトレ村に来訪した『その人』を見て、私は絶句した。

「あたしは天才錬金術師、アウリス・アーシング。よろしくね!」
「アウリス……!」

私たちの関係を、『初めて出会った人』以外に表すことができるのなら。
……意外とそこには、当たり前の答えがあるのかもしれない。

女神様の凡ミスで、私の存在は分裂してしまった。
それが原因で、世界中に散り散りになってしまった、11人の私たち。
でも、いつか巡り会える日が来る。
逃れられない運命の歯車が回り始めたから。
私は胸をよぎるすべての感情へ、目を細め、思い馳せる。

出会えた時の愛おしさも。
数え切れないほどの感謝も。
意気投合した時の喜びも。

すべてが、この胸の中。
春はまだ続く。
これから幾度も、こんな一時を、私たちは堪能することになるだろう。
異世界『アルトクラン』生活。
胸のわくわくは、いつまでも止まらない。