転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

『王都が枯れ果てていく一方で、緑豊かなラトレ村が、皮肉にも、かつてのルージュ王国以上に輝いて見えるな……』

テレビ画面を眺めていた王様は、玉座に深くうなだれる。
風光明媚で、大精霊の加護もある村。
そこに暮らす村の人たちが、とても生き生きとしていて活気がある。
そんなラトレ村は、今の王様にはまぶしく映ったのだろう。

『何故ですか、父上? ラトレ村の者たちは全員、我が王家への不敬罪で極刑にするべきです!』

肝心のジルハルト殿下は、城内で謹慎を命じられていた。
ジルハルト殿下がここぞとばかりに、ラトレ村に派遣しようとしていた精鋭部隊は、王様によって、すんでのところで呼び止められたらしい。

『王妃よ。ジルハルトはもはや、これまでかもしれない。覚悟しておく必要がありそうだ』
『陛下。ですが、ジルハルト以外で、王族の血を引くのは隠し子たちだけ。隠し子のことが露見すれば、世継ぎ争いが起きるのでは……』

醜態をさらしたジルハルト殿下は、既に王様とお妃様にも身限られていた。
後日、王太子を廃し、一王子になるようだ。
だがーー。

『しかし、このテレビというもの、興味深いですな。この回路の引き方は、ルージュ王家に伝わる秘伝の術式……。もしや、ラトレ村には我が王家の血を引く者がいるのでは?』

テレビ画面を凝視する老魔道具師さんの言葉に、私は胸がざわつき始める。
それを聞いた王様は興奮のあまり、勢いよく玉座から立ち上がった。

『それはまことか?』
『確証はありませんが、恐らく……』

老魔道具師さんの断言が、私の心に重くのしかかる。

『……そうか。ラトレ村に、我が王家の血を引く者が……』

王様のつぶやきに、私の鼓動が大きく跳ねた。

ラトレ村に、王家の血を引く者がいる。

その事実を知った王様は今後、どう出るのだろう。
自分たちの置かれている立場を考えると、事実を知られたことに激しく戸惑ってしまう。
ルージュ王国の崩壊と不穏な影。
テレビの精霊さんから受けた報告を、私は自分の部屋で静かに聞いていた。

「どうやら、ルージュ王国の国王様は、私たちと事を荒立てるつもりはないみたいね」
『はい。精鋭部隊を、森に派遣する余裕はなさそうですね』

そうこぼした私を見て、テレビの精霊さんはほっと安堵している。

「でも、特別な術式に……テレビの再現力に気づいた人がいる。隠し子のことが露見したら、サフランくんの身に危険が及ぶかもしれない」

私は懸念材料を口にする。
ルージュ王国の王家は、表向きは華やかな王家。
だが、裏では代々、王族の血を引く隠し子が『至高の魔道具師』として、王国の国防や宝具を維持する役割を担っている。