『使者さん、こちらをご覧ください』
『こ、これは……!』
テレビ画面越しに、ジルハルト殿下のブチギレっぷりを見た使者さんは、『あ、これ戻ったら処刑されるやつだ』と悟ったのだろう。
『お、お助けください! 私、今から家族共々、ラトレ村の住人になります! どうか移住させてください!』
使者さんは涙目で、あっさりと『辞表』を叩きつける。
辺境伯への忠誠心により、家族の命を守ることを優先したのだろう。
思わぬ形での住民確保。
とりあえず、ジルハルト殿下たちが何か手を打つ前に、精霊さんたちにお願いして、彼の家族をラトレ村に移住させておこう。
『おめでとうございます! ラトレ村に、新住民の誕生です! 後日、盛大な歓迎会を行います! スペシャルイベントも盛りだくさん! お楽しみに!』
アリスはマイクを手に、まるで感動のフィナーレのように中継を盛り上げる。
『なんなんだ? 一体、何が起きているんだ!』
『分かりません。ただ、我々が、世界中にさらされていることしか……』
この光景を目の当たりにして、泡を食ったのはジルハルト殿下たちだ。
テレビ画面越しに、ラトレ村に派遣した使者が寝返り、その家族まで逃げられたのを見たジルハルト殿下はもはや、怒りを通り越して愕然としていた。
王家が報復を考える隙すら与えない、精霊さんたちの機動力。
私たち、異世界TVスタッフの根回しが完璧すぎて、ジルハルト殿下たちの負けっぷりが際立ってしまったのだ。
『くそっ、何とかしろ! たかが辺境の村、一喝すれば従うだろう!』
『そう言われましても、そもそも、村にたどり着くことができないので……』
悪あがきを続けるジルハルト殿下に、臣下の者たちの苦労は絶えないようだ。
その必死すぎる模様が、既にバラエティー番組と化している。
そこで画面が切り替わり、アナウンサーの私がいる森の中が再び、映し出された。
『はい。王城からは威勢のいい声が届いておりますが、ここで一旦、後日開催される歓迎会の詳細です!』
私がそう発した瞬間、画面端には『歓迎会の日程と催しもの』というテロップが表示された。
そこには、歓迎会が行われる日と催しものの内容が詳しく説明されている。
ルージュ王国の闇の暴露と歓迎会の詳細。
ドキュメンタリーとバラエティーを同時にやるのが、異世界TVの真骨頂だ。
画面の片方では、ルージュ王国の王家が大パニック。
もう片方では、『美味しい屋台情報』や『花火情報』といった平和な告知が流れている。
さらには、元使者さんによる目玉イベント、『ルージュ王国の王家のここが変だよ』という、暴露トークショーも開催されることになっていた。
うんうん。
この情報密度のカオス感が、視聴者を飽きさせない、『異世界TV』の強みになっていると思う。
『こ、これは……!』
テレビ画面越しに、ジルハルト殿下のブチギレっぷりを見た使者さんは、『あ、これ戻ったら処刑されるやつだ』と悟ったのだろう。
『お、お助けください! 私、今から家族共々、ラトレ村の住人になります! どうか移住させてください!』
使者さんは涙目で、あっさりと『辞表』を叩きつける。
辺境伯への忠誠心により、家族の命を守ることを優先したのだろう。
思わぬ形での住民確保。
とりあえず、ジルハルト殿下たちが何か手を打つ前に、精霊さんたちにお願いして、彼の家族をラトレ村に移住させておこう。
『おめでとうございます! ラトレ村に、新住民の誕生です! 後日、盛大な歓迎会を行います! スペシャルイベントも盛りだくさん! お楽しみに!』
アリスはマイクを手に、まるで感動のフィナーレのように中継を盛り上げる。
『なんなんだ? 一体、何が起きているんだ!』
『分かりません。ただ、我々が、世界中にさらされていることしか……』
この光景を目の当たりにして、泡を食ったのはジルハルト殿下たちだ。
テレビ画面越しに、ラトレ村に派遣した使者が寝返り、その家族まで逃げられたのを見たジルハルト殿下はもはや、怒りを通り越して愕然としていた。
王家が報復を考える隙すら与えない、精霊さんたちの機動力。
私たち、異世界TVスタッフの根回しが完璧すぎて、ジルハルト殿下たちの負けっぷりが際立ってしまったのだ。
『くそっ、何とかしろ! たかが辺境の村、一喝すれば従うだろう!』
『そう言われましても、そもそも、村にたどり着くことができないので……』
悪あがきを続けるジルハルト殿下に、臣下の者たちの苦労は絶えないようだ。
その必死すぎる模様が、既にバラエティー番組と化している。
そこで画面が切り替わり、アナウンサーの私がいる森の中が再び、映し出された。
『はい。王城からは威勢のいい声が届いておりますが、ここで一旦、後日開催される歓迎会の詳細です!』
私がそう発した瞬間、画面端には『歓迎会の日程と催しもの』というテロップが表示された。
そこには、歓迎会が行われる日と催しものの内容が詳しく説明されている。
ルージュ王国の闇の暴露と歓迎会の詳細。
ドキュメンタリーとバラエティーを同時にやるのが、異世界TVの真骨頂だ。
画面の片方では、ルージュ王国の王家が大パニック。
もう片方では、『美味しい屋台情報』や『花火情報』といった平和な告知が流れている。
さらには、元使者さんによる目玉イベント、『ルージュ王国の王家のここが変だよ』という、暴露トークショーも開催されることになっていた。
うんうん。
この情報密度のカオス感が、視聴者を飽きさせない、『異世界TV』の強みになっていると思う。



