転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

『悪いが、行くつもりはない! どうしてもと言うのなら、私たちを倒してからにしてもらおう!』
『さあ、遠慮はいらない。全力で来るがいい!』
『ひいっ!』

圧倒的な格の違いを見せつけているのは、勇者リスアと魔王ウリだ。
聖剣を構える勇者リスアと、強大な闇魔法を放とうとする魔王ウリからは、圧倒的強者のオーラを感じられる。
即座に、力の差を実感したのだろう。
門前払いを受けた使者さんは、肩を震わせて絶叫した。

『命ばかりはお助けを!!』

並々ならぬ威圧感に絶望した使者さんは、即座に平伏する。
うーん。
使者さんは見た目は優秀そうなのに、なかなかの残念感が漂っている。
油断できない相手よりは、ずっといいけれどね。
そこで画面が切り替わり、アリスがいる森の中が再び、映し出される。

『お話を伺おうと思いましたが、どうやら、お取り込み中だったみたいですね』

そう前置きして、アリスは神妙な面持ちで切り出した。

『ルージュ王国の使者に選ばれた彼は、このまま勝ち目のない戦いを挑むのか、ルージュ王国に戻り、処罰を受けるのか。それとも、森の牢獄でスローライフを送るのか。はてさて、彼の命運はいかに!』

今の使者さんの心境はといえば、涼しさやらスカッとする爽快感などからは程遠いだろう。
絶望的な選択肢を前にして、使者さんは絶句する。
そこでアングルが変わり、ジルハルト殿下がいるルージュ王国の王城が映し出された。

『なんだ、これは! 今すぐ、止めさせろ!』

この放送を見たジルハルト殿下は、自分の差し金が、世界中で笑いものにされていると知って怒り狂っていた。

『それが、世界規模で行われているようでして、止める手段が見当たらなく……』
『おのれ~!』

面目を潰されたジルハルト殿下は歯噛みする。
テレビという未知の存在を前にして、臣下の者たちもお手上げの状態である。
魔法や技術の範疇を超えた、『世界規模の放送』には手も足も出ないのだ。
絶対的な権力を持っていたはずの王族が、見えない電波(星魔法)に無力化される姿は滑稽だったのだろう。

「最高!! まさに暴露会だ……!!」
「すばらしいな……!!」

視聴者さんたちは内心、おかしかった。
もう笑っていないとやっていられない馬鹿らしさだ。

『ジルハルト殿下って……あんなに情けない王太子だったのか!?』
『最悪だな……!』

逆に、番組を見ていたルージュ王国の人たちは口々に不満を言い始めていた。

自分の姿が、テレビによってさらされている。

そんな深刻な状況になっているとは知らない使者さんは、ずっとひれ伏したままだった。
そこにレポーターのアリスが、マイクを持ってやってくる。