転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

ルージュ王国の闇を暴く、ドキュメンタリー番組。
その実況中継は、世界中の視聴者たちを次々と虜にしていった。
今回のテレビ番組の受信場所は、ルージュ王国も含めた世界全体、そして、異世界TV推しの女神様がいる転生の間だ。

「あら? そろそろ、始まるわね。急いで、番組リサーチしなくちゃ!」

『現地取材版の異世界TV』をすっかり気に入った女神様は、今日も全力で推し活中だ。

『こんにちは。皆様、いかがお過ごしでしょうか』

画面中央にはマイクを持った、異世界TVのアナウンサーの私が映し出された。
今回の番組の進行場所は、ラトレ村の入口付近にしている。

『今回は独占密着! 知られざるルージュ王国の闇を明らかに! ルージュ王国の各所にある、深い闇を深掘り! ルージュ王国からの不当な呼び出しの真実が今、ここに!』
「おっ! 今回は、いつもと趣向が違うんだな!」
「面白そうだな!」

その響き渡った声に、各地の人たちが手を止め、テレビ画面に目を釘付けにする。

『今回の企画は、王国からの使者。もしも……ルージュ王国の王家の貴重な裏側を、特別にのぞくことができたら? そんな知的好奇心を刺激する潜入捜査のもと、「気になる!」の向こう側を大調査していく番組になります。こう、ご期待ください!』

こぶしを突き上げた私が宣言すると、画面がラトレ村の近くの森に切り替わる。
画面端には、『独占密着! 王国の使者!』というテロップが表示された。

「なっ!?」
「なんだ、これは……?」

暴かれる側のルージュ王国の王家の者たちは愕然としていた。
秘密裏に進めていたはずの使者の存在が、テレビを通じて、公になってしまったからだ。

『こちら、ラトレ村の近くにある森の中です。まずは、ジルハルト殿下が白羽の矢を立てた人物、王国の使者を独占密着しますよ!』

マイクを手にしたアリスは、森の奥へと視線を向けた。
今回も聖女だとバレないように、顔をフードで隠して変装をしている。
正体を隠し通して、このままレポーターをするつもりらしい。

「おい、これ、ルージュ王国の内部事情かよ!」
「面白い企画だな!」

テレビを見ていた魔王軍の魔物たちが、魔王城の酒場でわいわいと盛り上がる。

「ルージュ王国の……!」
「なんて恐ろしい……。でも、目が離せないわ」

一方、ミモザ帝国の貴族たちは、優雅にお茶を飲みながら、スキャンダルに釘付けになった。

『あ、今、王国の使者が、森で右往左往していますね! この森には、方向間隔を狂わせる、知覚阻害の魔法が働いています。そのため、悪意がある者たちが一度、迷い込むと抜け出すのが不可能だと言われています!』

アリスは深刻な面持ちで告げる。