転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

きっと、サフランくんは森に置き去りされた時も、両親を恨むことはしなかったのだろう。
自分の持つ力が、争いの種になることを知っていたから。
もしかしたら、サフランくんの両親は、ラトレ村の人たちが見つけやすい場所に、サフランくんを託したのかもしれない。

「アウリ様。大事な人たちを守るために、その力を振るう。そのことはきっと、間違いじゃないと思います」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥でただよっていたものがすとんと落ち着く。
文字通りに憑き物が落ちたようだった。
進むべき道程の険しさはとうに知っている。
それでも、サフランくんたちは進み続けるのだろう。
心の内にきらめく刃を抱きながら、一歩ずつ。
それを最大限応援するのが、この村に住む、大精霊である私の役目。
そのことを改めて、実感したからだ。

「星魔法でみんなを助け、精霊様たちの心を癒すアウリ様は、みんなから必要とされています。アウリ様は、ここにいていいんです。ここで生きて、幸せに暮らしていいんです!」
「……サフランくん、ありがとう」

小さな幸せの見つけ方も、家族の愛情も。
笑顔が連鎖することも、幸せが誰かに届けられるということも。
少し予定と違ってしまったけれど、今日という日だって特別になる。
得難い経験が、いつもと違う景色が――きっと、心を重ねる後押しをしてくれると信じて。

私は全力で、ラトレ村を守り抜くことを心に誓った。
だが、皮肉にも、それがルージュ王国を轟かす大事件に発展していくことになるのだった。