転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

小さな村に、大金を生み出す産業ができている。

そんなの、王家から目をつけられるに決まっている!

『みんなが望む、穏やかな日々。それを最大限応援するのが、この村に住む、大精霊の役目。この事実は、何としても隠蔽しなくちゃね!』

頭を抱えた私は以前、決心した想いを反芻する。
アリスやサフランくんたちに危険が及ばないように……?
隠蔽……?
いやいや、完全に瓦解している。
これでは本末転倒だ。
既に、みんなが望む、穏やかな暮らしがままならなくなっている。
このままでは、私たちは問答無用で、ルージュ王国の王城に連れていかれてしまうだろう。
ラトレ村の人たちの平穏な日々が、お先真っ暗に……。
どうにかする方法を考えないと……。

「私たちはただ、ラトレ村と精霊たちを救いたかっただけだ。それなのに、どうしてこうなったんだ?」

腕を組んで思い悩むのは勇者リスアだ。
それは、私が聞きたい。

「ふむ。未知で万能な能力はすばらしい。しかし、それらの使い道は慎重に行うべき。軽率な行動は、自らを危険にさらすということだな」
「うっ……」

痛いところを突っ込んでくるのは魔王ウリだ。

「うーん。どうしたら、いいんだろう……」

招待状を持っている人を、ラトレ村に来れなくすればいいのかもしれないけれど、その人が王家から罰せられる可能性が高い。
食堂に足を運んでくれたお客さんを、危険にさらすことだけはしたくない。
せめて、その人物が誰か分かれば、対応策を取れるのだけど。
この膠着状態を打破するために、私ができることは……。

「横から失礼します。アウリ様。少しご相談をしたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「は、はい……!」

思うところがあったのか、アウベルさんが会話に加わってくる。

「王国からの不当な呼び出しに、お困りなんですよね? でしたら、王国の使者が、村に向かう道中を、テレビの精霊様が『密着、王国からの使者24時』のように、『実況』されたらどうですか?」
「実況……?」

アウベルさんの提案に、私は呆気にとられる。

「はい。テレビによる実況は、ルージュ王国の王家でも、容易に手を出せないほどの権威。つまり、実況をすれば、国や貴族への牽制になります」

テレビで実況中継。
その手はいいかもしれない。
密着すれば、王国の使者がどんな人なのか、把握できるだろう。

「アウベル、それはいいな。強引な勧誘に出た王家を、社会的に抹殺してやろう!」

勇者リスアは何の迷いもなく、食い気味に宣言していた。
テレビの情報の拡散力は半端じゃない、
下手をすれば、炎上するだろう。