転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

「なんだ!?」
「あの不思議な生物は一体……?」

とことこ歩く『冷蔵庫の精霊さん』を見て、彼らは思わず、腰を抜かしそうになる。

「……もしかして、『精霊』なのか?」
「……なるほど。愛され食堂に行けば、精霊たちに会えるという噂は本当だったみたいだな……!」

愛され食堂で食事会。
思いつきだったけれど、これが思ったよりも高評価で嬉しい限りだ。

「ビーフステーキとエビとホタテのシーフードドリアです。どうぞ、お召し上がりください」

私はそう言うと、料理をテーブルに置いた。
ふわりと広がる香りに、冒険者さんたちはわくわくした顔になる。

「このビーフステーキという料理。表面は香ばしく、中は濃厚なジューシーさ。噛むほどに旨味が溢れ出すな」
「エビとホタテのシーフードドリアも最高だぜ。濃厚な旨味と香りが口いっぱいに広がり、コク深く蕩(とろ)ける味わいだ」

日本の料理は、ラトレ村でもなければ、なかなか食べられる機会はないのだろう。
一流の冒険者さんたちが、異世界の絶品料理に胃袋を掴まれる。

「こんなうまい飯が食えるなら、報酬なんて二の次だ! 美食三昧。この村のためなら、俺は命を懸けるぞ!」
「俺たちが死んでも、この村は守り抜く!」

警護のモチベーションが爆上がりしすぎて、重すぎる忠誠を誓い始める冒険者さんたちまでいた。

「いや、そこまで重くなくていいんだけど……」

予想以上の反響に、私は苦笑いする。
だが、最高に食欲をそそる料理は、一口食べれば虜になってしまうのだろう。
興奮して盛り上がる冒険者さんたちを見ながら、私はにっこりと微笑んだ。

「大変なこともあるけれど、こうやって、みんなで目標に向かって、協力して進めるのも楽しいわね」

食堂を繁盛させることから始まった私たちの取り組みは、精霊さんたちのための国造り、という極大まで広がった。

アリスと契約してから始まった、異世界『アルトクラン』の生活。
あまりにも突拍子がない出来事の数々が続いたけれどーー。

どれもこれも、一人では味わえない達成感がある。
ラトレ村はすっかり、生活環境が整って、暮らしが良くなってきていた。
新しい建物や観光客も増えて、もはや、『ラトレの町』だと言ってもいいかもしれない。

『ラトレ村が大繁栄した理由?』
『それはひとえに、大精霊様と聖女様たちの御業の賜物です』
『魔道具師様の力をもってすれば、造作もないことですよ』
『勇者様と魔王様とギルドマスター様が降臨したからです』

ラトレ村に滞在する精霊さんと妖精さんたちは、口々にそう噂していた。
精霊さんたち、話を盛り過ぎだよ……!?
どんどん話が変な方向に進んでいる気がする。
そんな大混乱もあったけれど、すべてが順風満帆だった。
そして後日。
マリン様とリラ様が、ラトレ村を訪問した。