転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

「親子丼を作りたいの。卵とたまねぎと鶏肉、それに伴う調味料を出してもらえる?」
『かしこまりました』

私は冷蔵庫の精霊さんにお願いして、必要な材料を出してもらう。
精霊の力を借りれば、材料や調理機器などを調達しなくてもいいので、コスト削減につながる。
さらにアリスの聖女の力を使えば、その料理を食べただけで傷が癒えたり、病気予防にもなる。
テレビ番組の放送も相まって、食堂はいつも大繁盛だった。

「ここの料理を食べれば、疲労が回復するな。まさに癒しの場だ!」
「すっかり、行きつけの場所になっているわね!」

お客さんたちの喜びの声に、アリスのお父さんは嬉しそうだ。
ここまで好いてもらえば、店主冥利に尽きるというものなのだろう。

ひとまず、食堂を繁盛させるという目的は果たせたのかな……?

そう思えば、私も肩の荷が下りた気がした。

「ご注文の親子丼です」
「ありがとうございます。この甘辛いタレが、ごはんに染みていていいよな」

私が注文の品である親子丼をテーブルに置くと、サフランくんは穏やかに表情をゆるませた。
そこで、テレビの精霊さんが会話に入ってくる。

『横から失礼します。星を司る大精霊、アウリス・クロエ様。少しご相談をしたいことがあるのですが、よろしいですか?』
「相談……?」

思わぬ申し出に、私は目を瞬かせた。

『はい。重大なことが発覚したかもしれないんです』
「分かったわ。ちょっと待って」

そのやり取りを見て、サフランくんは少し不安そうな表情になった気がする。
しばらくテレビの精霊さんと話すことを伝えると、アリスたちは快く承諾してくれた。
私は冷蔵庫の精霊さんに厨房を託して、テレビの精霊さんと一緒に自分の部屋に入る。

『忙しい時間に申し訳ございません』

私が向き合うと、テレビの精霊さんは気まずそうにうつむいた。

「ううん、気にしないで」
『ありがとうございます……』

感謝を述べたテレビの精霊さんは、どこか決まり悪そうにしている。
何か、重大な話なんだろうか。
そう思い始めると、疑問はどんどん膨らんでくる。
しばらく待っていると、テレビの精霊さんはようやく重い口を開いた。

『サフラン様は以前、ルージュ王国の魔道具師ギルドで働いていましたよね』
「ええ。でも、ギルドでは身分差が影響にして、肩身の狭い思いをしていたのよね。仕事を押しつけられた結果、無理やり工房を追い出されたって聞いたわ」

私は思い出した記憶をそのままなぞる。
するとテレビの精霊さんは興奮気味に、ここぞとばかりに話を切り出す。