転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

「アウリ様、アリス、サフラン、おかえりなさい」
「ただいま、みんな」

ラトレ村に戻ると、村の人たちが温かく出迎えてくれた。
私たちの帰りを心から喜んだり、さりげなく肩を叩く姿も見受けられた。
血のつながりを超えた『居場所』。
そんな村の人たちに囲まれて、照れくさそうに笑うサフランくん。
そんな彼の姿を見て、私は幸せを噛みしめる。

「過去がどうであれ、サフランくんがラトレ村の住民には変わりないわね……」

今も、こうして間違いなく、サフランくんは『ラトレ村の住民の一人』として、この世界に存在している。
その事実は途方もなく、私の心を温めた。
いつか、彼の過去が牙を剥いたとしても、自分も、その『家族』の一員として守り抜こうと決意を固める。

「あ……、お母さん!」

アリスとサフランくんと一緒に話しながら食堂に向かうと、そこにはアリスのお母さんがいた。
どうやら、私たちの帰りを待っていたようだ。

「お母さん、ただいま」
「アリス、サフランくん、アウリ様、おかえりなさい」

私たちの姿を見つけると、アリスのお母さんは少し目尻を下げて、優しく出迎えてくれた。

「サフランくん、今日の夕食はどうするの?」
「もしよろしければ、こちらで食べようと思っています」

アリスのお母さんの問いかけに、サフランくんはぺこりと頭を下げる。

「そうなのね。じゃあ……!」
「うん! サフランくん、いらっしゃいませ!」

アリスの言葉に相まって、私は両手を広げて言い放った。
料理の香りが漂う食堂は、今日も明るく、私たちを招き入れる。
サフランくんは席につくと、メニューを眺めた。

「今日は『親子丼』を頼むな」
「はい。かしこまりました。いつもありがとうございます」

私は水が入ったコップをテーブルに置くと、厨房へ向かう。
この世界に存在しない丼物は、食堂の人気メニューの一つだ。

「アウリ様、おかえりなさいませ」
「ただいま」

そう言って快く出迎えてくれたアリスのお父さんに挨拶する。
近寄ると、ふわりと厨房の出汁の香りが漂ってきた。

「しばらく留守にしていてごめんなさい。私たちがいない間に、困ったこととかなかった?」
「食堂も、村も大丈夫です。冷蔵庫の精霊様のおかげで、食材も滞りなく足りていますし、村の人たちも元気ですよ」
「良かったわ。私たちの方も、収穫があったから期待していてね」

アリスのお父さんから、私たちの不在中の報告を受けた。

「冷蔵庫の精霊さん。今、大丈夫?」
『はい、お呼びですか? 星を司る大精霊、アウリス・クロエ様』

私の呼びかけに、小型の冷蔵庫のような精霊さんがとことこと歩いてきた。