転生したら、女神様の凡ミスに遭いました



「では、また、後日に」
「ありがとうございます」

アウベルさんに見送られて、私たちは冒険者ギルドを後にした。
アウベルさんのおかげで、冒険者さんたちの人手を得ることができそうだ。

「依頼も無事に出して、ギルドマスターに冒険者さんたちを斡旋してもらえることになったし、後回しになっていたテレビ番組の制作の方も頑張らなくちゃ!」

建物の隙間から、陽の光が差し込んでくる。
さながら、天使のはしごみたいだ。
美しい夕焼け空。
そんな夕焼けを見て、つい『画角(カメラ映え)』を気にしてしまうのは、異世界TVのアナウンサー兼レポーターとしての職業病なのかもしれない。
それでも、私の心は別の方向に向いていた。

「そういえば、サフランくんはいつも、私たちの事情を深く聞いてこないわね」

私はふと感じた疑問を、サフランくんに問いかけた。

「何か、事情があるんだろう……じゃなくて、あるんですよね。なら、無理に聞かないようにしようと思ったんです」
「どうして?」

サフランくんの瞳が、私を真剣に見つめる。

「俺も話したくないことがあるので、その気持ちは分かるんです。それだけのことです」

あっけらかんと言われて、私も返す言葉がすぐには見つからない。
そういう考えもあるんだと、どこか納得させられてしまう。
それにサフランくんの言葉には、どこか重みを感じたからかもしれない。
転生の間で、女神様のために、異世界TVのアナウンサーをしていた頃のことを思い出す。
異世界TVのアナウンサーとして、世界中を駆け抜けた時のことを。
不意に、懐かしさがこみ上げてくる。

あの頃は女神様のために、情報を収集して、世界中を回ることに必死だった。
テレビの精霊さんと連携して、充実したテレビ番組制作を頑張っていた。
そんな中、噂話を聞き及んで、他のアウリスたちの様子を見に行ったこともある。
もっとも、実際に見たのは勇者、魔王、聖女の三人だけだったけれど。
そのうちの一人、聖女であるアリスの様子を、上空から窺っていた時、必然的にサフランくんのことも知ることになった。

アリスの実家の近くに住んでいる、サフラン・フォーラムくん。
いつも、愛され食堂に通っているお得意様だ。
サフランくんは、優しいラトレ村の人たちに囲まれて幸せそうだった。
だけど、サフランくんは村の人たち、誰とも血がつながっていない。
その理由にーー胸がぎゅっと苦しくなる。

サフランくんは幼い頃に、森の中に捨てられていた子なのだそうだ。

でも、ラトレ村の人たちが見つけて、彼を懸命に育ててくれた。