転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

『もしかして、あの精霊さんたちは、移住先を求めて、ラトレ村に来たのでしょうか?』

私は内心、焦りつつも、現状を視聴者たちに伝えていく。

『移住先を斡旋できる場所はどこだ?』
『あのお方は、もしかして異世界TVの……?』
『なら、受付場所はあそこだな!』

案の定、私の予想はばっちり当たったわけで。
移住先を求めて、精霊さんたちがラトレ村入口に詰めかける。

『異世界TVのアナウンサー様、お助けください! 星を司る大精霊様がお怒りなのです!』
『我々をお救いください! ぜひ、移住先の提供を!』

アナウンサー席の前を埋め尽くしたのは精霊さんたち。
ゴリゴリと押し寄せ、話を進めてくる。

『えっと……皆様、落ち着いてください!』

話が突飛すぎて、突っ込むに突っ込めない。
とりあえず、星を司る大精霊は、異世界TVのアナウンサー兼レポーターの私のことです。
……とは、さすがに言えない。

「素晴らしい! 私が提案した企画が、ここまでの成果を上げるとは!」
「これが、噂の壁ドンというやつか! アウリに先を越されるとは思わなかったな!」

その様子を見守っていた勇者リスアと魔王ウリが、能天気な解説をしている。
壁ドン?
少なくとも、こんなの、私が知っている壁ドンじゃないんだけど!

「何が起きたんだ?」
「よく分からないが、この村に精霊様たちがお越しくださったようだ」

様子を窺っていた村の人たちはみんな、口をぽかんとして立ち尽くしている。
そこにサフランくんがやってきて、こっそり耳打ちした。

「アウリ様。ここまで派手にやらかすと、精霊様たちに隠すのは無理だと思います。先に正体を明かしておいて、今後の隠蔽に協力してもらった方がいいのでは?」
「……私もそう思う」

もっともな意見に、私は全力で同意する。
身を焼かれるような焦燥。
頭がくらくらした。
自ら墓穴を掘っていく前に、この場を何とかしないと。

『えー。精霊様たちの移住への斡旋が始まることになり、ラトレ村は精霊の加護のある村、お出かけスポットとしても注目を集めることになりそうです』

マイクを手にした私は気を取り直して、ナレーションを続行した。

『次回は、春におすすめのラトレ村お出かけスポットをご紹介! 春が旬! 真っ赤に実ったトマト祭りが開催!? そして、精霊さんと妖精さんたちの移住をお祝いする、期間限定のスペシャルイベントが開催予定! 華やかなフラワーガーデンや限定の春グルメも登場! 精霊さんたちと楽しめる、この時期だけの特別な体験をお届けします!』
「いいぞーー!!」
「異世界TV、最高ーー!!」

投げやりなナレーションだったのに何故か、視聴者さんたちから大反響が巻き起こる。
しかも、今回の放送が、ルージュ王国の一線を画す企画が満載だったからなのかもしれない。
その予想外で自由な内容が、多くの視聴者たちを虜にしたのだった。