転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

聖女は、精霊さんたちと心を通わせることができる。
いわば、聖女は、精霊さんたちにとって、『かけがえのない大切な友人』に当たるのだ。
それなのに、偽物呼ばわりした上に、さらに彼女を貶めようとしている。
なんてひどい仕打ちをするのか、と精霊さんたちは激怒した。

『ルージュ王国在中の精霊さんと妖精さんたち。いっそのこと、ルージュ王国の王都から出ませんか?』

そのタイミングで、アリスがうずうずした様子で口を開いた。

『王都に残っても、いいことはありませんよ。聖女と同じように、搾取されるだけです!』

その言葉が、精霊さんたちにもたらした影響は大きかった。

『搾取……。確かに、最近のルージュ王国の宮廷魔道具師たちの動向は目に余るものがある……』
『我々精霊を、道具としてしか見ていない……』

精霊さんたちの思考はおおよそ、ここに着地するようだった。
星を司る大精霊の私もそう思うよ。
少なくとも、ジルハルト殿下たちはろくでもない。
心の底から、そう思わずにはいられない。
ドキドキ。
手を握りしめて、精霊さんたちの動向を食い入るように見つめていると。

『今なら、わたしたちが、精霊さんたちの移住先を斡旋できます。これを逃す手はないですよ!』

アリスがここぞとばかりに告げる。

『それに、星を司る大精霊様がお怒りだから、この国がまるごと消し飛ぶかもしれないわ!』

アリス……。
肯定の根拠が予想した方向と違うんだけど。

『星を司る大精霊様がお怒り……!? こうしてはいられない!』
『その言葉に甘えよう。我々は即急に、この国から脱出する!』

アリスの誘いに触発されたのだろう。
精霊さんと妖精さんたちは、次々とルージュ王国の王都から飛び去っていく。
精霊さんたちに見限られた、国の末路は考えるまでもない。
っていうか、この国がまるごと消し飛ぶって……。
アリス、話を盛り過ぎだよ!
精霊さんたち、真に受けているし。
大精霊のネームバリュー、すごすぎる!

でも、ルージュ王国の王都から去った精霊さんたちはどこに行くんだろう?
もしかして、このまま、ラトレ村に来たりとかはないわよね?

嫌な予感しかしない。
そこで画面が切り替わり、アナウンサーの私が再び、映し出される。

『レポーターさん、ありがとうございました。ルージュ王国の王都から飛び去った精霊さんたちの行方、気になりますね。……えっと、あれは何でしょうか?』

見上げれば、無数の精霊さんたちが空を背景に漂っている。
どうやら、ラトレ村を目指して、転移魔法顔負けの超特急スピードで飛んできたらしい。