転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

『どうやら、お腹をすかしているようですね』

アリスが調査官さんたちの現状を赤裸々に伝えると、視聴者さんたちは声を出して笑い始めた。
これ以上はこらえ切れなかったみたいだ。

『あなた方は、ルージュ王国の方々ですか。どうして、ここに?』
『それは……』

アリスからマイクを向けられて、調査官さんたちは明らかに戸惑いをみせる。

『もしかして、ここに来たのはラトレ村を調査して、聖女アウリス・リネットを貶めるためですか?』
『何故、それを……!』

ズバッと言い当てられて、調査官さんたちはサッーと顔を青ざめた。
分かりやすい反応に、アリスはため息をつきたくなる気持ちを追い出すように尋ねる。

『あなた方はどうして、聖女を追い詰めるようなことをするのですか?』
『そんなの決まっている。ジルハルト殿下の命令だからだ!』
『それに、彼女は平民ではないか。しかも、聖女を騙る偽物だ。現に聖女であると偽って、ルージュ王国を魔物の脅威にさらした!』

散々な言われようだが、アリスは前々から調査官さんたちが自分を嫌っていることを知っていたみたい。
もはや、他人事のように、悪意の塊のような侮蔑と侮辱を聞き流していた。
恐らく彼らが、アリスを聖女として敬うことなど、一切なかったのだろう。

『……シルフさん。この方々はどうやら、どうしようもない人たちみたいですね。どうしましょうか?』

アリスは溜飲を下げるために一呼吸置くと、落ち着いた口調で尋ねる。

『そうですね。このまま、拘束しようと思います。一生、この「森の牢獄」から出られないように、厳重に閉じ込めておきますね』
『なっ……!』
『やめろ! それだけはやめてくれ!』

容赦ないシルフさんの即断に、調査官さんたちは深い絶望に(まみ)れる。
だが、シルフさんの決定は揺るがない。
聖女と妖精さんの不興を買うなど、魔族にケンカを売る以上に分が悪すぎる。

『うわあっ!! 助けてくれーー!!』

ラトレ村の調査に向かっていた調査官さんたちは、森の牢獄に閉じ込められ、悪い意味で顔が広く知られることになった。
もはや、自業自得としか言いようがない。

「聖女を貶める? なんと、愚かなことを……」
「ジルハルト殿下のご意志。つまり、ルージュ王国の王家が、今回の件に加担していたのか……」

当然、視聴者さんたちからの反応もすこぶる悪い。
ジルハルト殿下たちへの批判が殺到する。
特に、聖女を重んじる、教会関係者さんたちには見限られていた。

『なるほど。聖女アウリス・リネット様がいなくなった理由は、彼らのせいだったのですか……』
『卑劣な……』

急に消えた聖女に驚き、混乱していたルージュ王国の精霊さんたちも、テレビを見て驚愕に震えた。