転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

『何だ、この森は!?』
『この森、こんなに長かったか? 一向に抜けられないぞ!?』

その慌てぶりに溜飲が下がる。
お決まりのセリフを叫んでいる調査官さんたちに、『残念でした!』という言葉を贈りたい。

『ラトレ村はどこだ?』
『くそっ! 視覚がはっきりしない……!』

この森には今、方向間隔を狂わせる、知覚阻害の魔法が働いている。
そのため、悪意がある者たちが一度、迷い込むと抜け出すのが不可能だ。
当然、地図なども役に立たない。
小さな村の調査という名目で訪れた調査官さんたちは、さしたる事前準備をしていなかった。
それが、こうして裏目に出る結果になるとは思わなかっただろう。
調査官さんたちは、一向に出られない森の中を彷徨う羽目になったのだ。

『何だ? 地面が突然、割れたぞ!』
『助けてくれ!』

ときは行ったり来たり。
一日、一晩、一瞬の出来事で、世界は一変する。
勇者リスアが、聖剣で大地を切り裂いた時には、調査官さんたちは予想外の出来事に立ち往生した。
さらに時には、こんなことも。

『どうして、こんな森に、ドラゴンの大群がいるんだーー!!』
『こんなの、勝てるわけがないーー!!』

魔王ウリが派遣したドラゴン部隊も出動したため、調査官さんたちは大混乱に陥った。
度重なる魔物との遭遇と森から出られないストレスは、確実に彼らの心身ともに蝕んでいった。

『今日は何日目か?』
『ついに、食料も底を尽いてしまった……』

疲弊していく体力。
日を追うごとに、持ってきた蓄えも底に尽きていく。
恐らく、すぐに王都に戻れると、たかをくくっていたのだろう。
もう少し事前準備をしておけば良かったのにと思うものの、もはや後の祭りである。
やつれ果てた調査官さんたちは、過酷な大自然を舞台に、森の出口を求めて彷徨い続けていた。

『ここはどこだ?』
『誰か、助けてくれーー!!』

いつの間にか、極限サバイバル番組と化とした異世界TVであった。
彼らは大々的にテレビに放送されて、騎士冥利に尽きるだろう。
多分……。

「なんだ、これ!」
「これは……すごいな……! いくらなんでも、叫びすぎだろう!」

視聴者さんたちは内心、おかしかった。
もう笑っていないとやっていられない馬鹿らしさだ。
そこにシルフさんを連れ立ったアリスが現れた。

『ついに発見しました! 彼らがシルフさんの告げた不審者のようです!』

調査官さんたちは信じられないものを見るような目で、アリスたちを見つめる。
誰だ、と言いたいのに、お腹がすいて、なかなか言葉が出てこない。
そんな心境なのだろう。