転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

「そういえば、いたわね。分裂した時に、星の大精霊になったわたしが……」
『そうそう。それが私なの』

私はふふんと胸を張る。
前世の記憶がなかったら、どうしようかと思っていたけれど。
どうやら、取り越し苦労だったみたい。

『聖女アウリス・リネット。あなたにお願いがあってここまで来たの』
「あ、その前に」
『……えっ?』

私の発言に、彼女は困ったように笑う。
その表情に何だか、胸を衝かれた。

「ねえ、その、アウリス・リネットって呼ぶの、やめてくれない」
『でも、同じ名前だから、まぎわらしくない』

私の戸惑いに、彼女は「確かにね」と考え込む。

「なら、わたしのことは『アリス』って呼んで。村のみんなからは、そう呼ばれていたから」
『分かったわ。アリス、これからよろしくね。私は「アウリ」って呼んで』
「分かったわ」

同じ私だからかな。
アリスとは、自然と会話が弾む。
意思疎通しやすいからかもしれない。

『で、話は戻るんだけど、私を召喚して、契約してほしいのよ』
「契約?」

私の言葉に、アリスは不思議そうに首をかしげる。

『ほら、女神様が、星の大精霊に転生した私を、異世界TVのアナウンサーに任命したでしょう。そのせいで、私一人だけ、いまだに女神様のために、異世界TVのアナウンサーの仕事をしている状態なの』

私は今までの苦労を語る。

『私もいい加減、みんなみたいに自由になりたいのよ』
「なるほどね。別にいいわよ」

私が放った願いを、アリスは軽やかに受け止めてくれた。
その瞬間、私の表情はぱっと明るくなる。

『ほんと!?』
「うん。わたしもさすがに、その状態が続くのは嫌だし」

私を後押しする声。
共感してくれる仲間。
元は同じ自分。
すぐに私の気持ちを理解してくれたみたいだ。

『じゃあ、早速、契約を済ませてしましょう』

私は本体をアリスがいる場所まで移動させると、ふわりと地に足をつける。
大精霊にはほとんどお目にかかれないため、アリスはちょっぴり驚くものの。

「わたしが精霊になると、こんな感じなのね」

私の存在をすんなりと受け入れてくれた。
そして、私たちは向かい合うと、厳かに儀式を執り行っていく。
森の中に星の光が降り注ぎ、私の姿が実体化していった。

「やったー! これで私の姿は、他の人間たちにも見えますよ!」
「アウリ、良かったわね!」

実体化成功!
無事に契約を済ませた私は、これで自由の身だ。
新たな精霊との契約に、アリスも喜んでくれたみたい。
ふぅ……。
女神様が何かしらにつけて、文句を言ってくるかもしれないけれど。
女神様のためだけに、異世界TVのアナウンサーをするのはもう、こりごりだ。
まあ、アナウンサー兼レポーターとして、現地取材したら、女神様も満足してくれるかもしれないし、きっと大丈夫よね。
よし、これからは自分の意思で自由に生きてみせる!
ぐっと意気込んでいたら、アリスが躊躇いがちに話かけてきた。