転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

予想外の出来事に、場がしんと静まり返ったものの。

「なにそれ! 最悪すぎる!」

沸々と怒りがこみ上げてくる。
とんでもないことだ。
卑劣で唾棄すべき言いがかりで、アリスを一方的に追放した。
それなのに、今度はラトレ村まで貶めようとしている。
追い打ちをかけてきたジルハルト殿下に、私たちがするべきことは決まっていた。

『よし。クズ王太子に、勇者の力というものを見せてやろう!』
『我が魔王軍は、いつでもルージュ王国を滅ぼせるぞ!』

勇者リスアと魔王ウリはやる気満々。
どちらも、あらゆる名声を誇る、恐ろしい力の持ち主だ。
王城の破壊くらいで済めば、御の字としよう。

「なあ、アウリ、アリス。要は、調査官たちが、ラトレ村に来れなくすればいいんだな?」

勇者リスアが、かなり率直に的を射た質問をしてきた。

「ええ。さすがに行けない村にまでは、手出ししてこないと思うしね」

ジルハルト殿下たちを見た感想をもとに、所感を述べる私。
勇者リスアは満を持って切り出した。

「じゃあ、こういう方法はどうだ? 精神干渉系の魔法」
「精神干渉系の魔法?」
「ああ。知覚阻害の魔法で、方向間隔を狂わせるんだ。視覚を曇らせ、方向間隔を狂わせれば、彼らがラトレ村にたどり着くことは困難になる」

一石投じた提案に、私たちは目を丸くする。

「その上で、ルージュ王国の精霊や妖精たちに向けた、『異世界TV』の特別版を放送したら、奴らの度肝を抜くことができるはずだ!」
「『異世界TV』の特別版の放送……!」

目的が定まれば、もはや、迷いはなかった。
私たちは早速、『異世界TV』の特別版の内容を勘案していく。
この勇者リスアの提案が、ルージュ王国を轟かす大事件に発展していくことになるのだった。