転生したら、女神様の凡ミスに遭いました



新作メニューを気に入って、村の人たちや魔王軍の人たちが愛され食堂を愛用してくれるようになってくれた。
それに伴い、私たちも調理に配膳と忙しくなってきた。
だけど、将来的に食堂を維持していくための費用が必要になってくるし、もっと多くの人たちに、この食堂のことを知ってもらいたいと思った。

「うーん。忙しい時間は過ぎたかな……」

客足が途切れたタイミングで、ふぅと一息つく私。
その声に反応して、アリスはぱあっと弾かれたように言った。

「お父さん、お母さん。わたしたち、サフランに会ってくるね」
「分かった。ここは私たちに任せて」
「二人とも、気をつけてね」

アリスの両親に見送られて、私たちは食堂を出た。
雲一つない青空から降り注ぐ陽の光。
村の畑道を通って、サフランくんの工房に向かっていると。

「アリスちゃん、アウリ様、お出かけかい?」
「後で、食堂に食べに行くからね」
「ありがとうございます」

途中で会う村の人たちが、次々と声をかけてくる。
私たちが路頭に迷わずに済んでいるのは、足繁く通ってくれる温かな村の人たちのおかげだ。
私たちは早速、サフランくんの工房に顔を出す。

「サフランくん、こんにちは!」
「サフラン、遅くなってごめんなさい!」

張り上げた声は喧騒に消えた。
サフランくんは魔道具の最終調整に精を出している。
どうやら、こちらには気づいていないみたい。
それを見かねて、テレビの精霊さんが声をかけた。

『サフラン様。星を司る大精霊、アウリス・クロエ様と聖女アウリス・リネット様がお越しになりました』
「えっ?」

その声に反応して、サフランくんは慌てて、作業を止める。
サフランくんは立ち上がると、背筋を伸ばして謝罪した。

「気づかなくてごめん……じゃなくて、大変申し訳ございません。このたびは、わざわざご足労いただきありがとうございます。こちらがテレビ用の魔道具になります。ご確認ください」
「うわあっ! サフランくんが造った魔道具、すごいわね! 期待以上よ!」

率直に言った感想だったが、サフランくんからは少し意外な反応が返ってきた。

「ありがとうございます。テレビの精霊様がサポートしてくれたおかげです」

サフランくんは少し照れくさそうに、テレビの精霊さんを見つめる。
するとテレビの精霊さんは興奮気味に、ここぞとばかりに話を切り出す。

『アウリス・クロエ様。サフラン様は素晴らしい技量の持ち主です! わたくしの説明だけで、テレビの構造を理解して、それに伴う魔道具を忠実に造り上げてしまいました!』
「すごいわよね!」

テレビの精霊さんの言葉に、私は大いに納得する。