もう一人は、人間の女の子。
吸い込まれそうな薄く青い瞳に、金髪の三つ編み付きのツインテール。
服はワンピースにロープを着こんでいる。
簡素な胸当てに、足にはブーツを履いていた。
手には、柄に蒼色の宝石がついた剣を持っている。
まるで、どこかの商家の娘か、貴族の娘が冒険者になったような風貌だった。
来店者たちが誰なのか。
私は、その人物たちのことをよく知っていた。
「何で、勇者の私と魔王の私がここにーー」
思わず、声が裏返る。
予想外の大物の登場に、私が驚愕の声をもらす前にーー。
エルフに姿を変えた女の子が、人差し指を立てて悪戯っぽく笑った。
「しっ。……我らの本来の名前は『アウリス』。だが、今の我は、『ウリ』と呼ばれている。アウリ」
「何で、私の名前を……!?」
「何でって、君たちは気づいていたじゃないか。我の配下が昨日、この食堂を眺めていたことを」
そういうエルフの女の子もとい、魔王ウリの瞳は輝いていたし、半ば私の答えを期待してもいた。
「いや、気づいていたけれど、さすがに魔王が直々に来るなんて思わないでしょう」
来訪の仕方がズレている魔王ウリに、アリスが呆れたように正論をぶつける。
「我の配下の魔物が、ルージュ王国の国境付近に姿を現したせいで、我と同じ前世を持つ者が苦しんでいる。ならば、我もその力を貸さねば思い、はるばるここまで来たのだ!」
魔王ウリは腕を組むと、当然とばかりにうなずいた。
「そ、そうなんだね……じゃなくて、そうなんですね。お気遣い、痛み入ります」
「かしこまるな。調子が崩れる」
魔王ウリの気遣いに、私は何と答えればいいのか分からない。
ありがたいような、はた迷惑なような。
村の人たち以外の初のお客さんが、『勇者の私』と『魔王の私』とその配下たちというのはいかがなものなんだろうか。
「安心していい。我が魔王軍も、全面的にテレビ制作に協力しよう。ラトレ村に危害を加える者はすべて、この村には入れさせないからな!」
魔王ウリは席につくと、私が置いたコップを口に運ぶ。
食堂を一望にしながら、いただく水は格別な味わいだと言わんばかりにだ。
これは間違いなく、お客として来たというのは建前で、実際はテレビ番組に関わりたくて来たんだろう。
その魂胆が見え見えな魔王ウリに、私とアリスは困惑気味になる。
私は仕方なく、もう一人の女の子に目を向けた。
女神様のために、異世界TVのアナウンサーの仕事をしていた時に聞いたことがある。
伝説の聖剣に選ばれた人物がいると。
新しい勇者様が誕生したと。
吸い込まれそうな薄く青い瞳に、金髪の三つ編み付きのツインテール。
服はワンピースにロープを着こんでいる。
簡素な胸当てに、足にはブーツを履いていた。
手には、柄に蒼色の宝石がついた剣を持っている。
まるで、どこかの商家の娘か、貴族の娘が冒険者になったような風貌だった。
来店者たちが誰なのか。
私は、その人物たちのことをよく知っていた。
「何で、勇者の私と魔王の私がここにーー」
思わず、声が裏返る。
予想外の大物の登場に、私が驚愕の声をもらす前にーー。
エルフに姿を変えた女の子が、人差し指を立てて悪戯っぽく笑った。
「しっ。……我らの本来の名前は『アウリス』。だが、今の我は、『ウリ』と呼ばれている。アウリ」
「何で、私の名前を……!?」
「何でって、君たちは気づいていたじゃないか。我の配下が昨日、この食堂を眺めていたことを」
そういうエルフの女の子もとい、魔王ウリの瞳は輝いていたし、半ば私の答えを期待してもいた。
「いや、気づいていたけれど、さすがに魔王が直々に来るなんて思わないでしょう」
来訪の仕方がズレている魔王ウリに、アリスが呆れたように正論をぶつける。
「我の配下の魔物が、ルージュ王国の国境付近に姿を現したせいで、我と同じ前世を持つ者が苦しんでいる。ならば、我もその力を貸さねば思い、はるばるここまで来たのだ!」
魔王ウリは腕を組むと、当然とばかりにうなずいた。
「そ、そうなんだね……じゃなくて、そうなんですね。お気遣い、痛み入ります」
「かしこまるな。調子が崩れる」
魔王ウリの気遣いに、私は何と答えればいいのか分からない。
ありがたいような、はた迷惑なような。
村の人たち以外の初のお客さんが、『勇者の私』と『魔王の私』とその配下たちというのはいかがなものなんだろうか。
「安心していい。我が魔王軍も、全面的にテレビ制作に協力しよう。ラトレ村に危害を加える者はすべて、この村には入れさせないからな!」
魔王ウリは席につくと、私が置いたコップを口に運ぶ。
食堂を一望にしながら、いただく水は格別な味わいだと言わんばかりにだ。
これは間違いなく、お客として来たというのは建前で、実際はテレビ番組に関わりたくて来たんだろう。
その魂胆が見え見えな魔王ウリに、私とアリスは困惑気味になる。
私は仕方なく、もう一人の女の子に目を向けた。
女神様のために、異世界TVのアナウンサーの仕事をしていた時に聞いたことがある。
伝説の聖剣に選ばれた人物がいると。
新しい勇者様が誕生したと。



