転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

テレビに必要な周辺機器を、魔道具で造り出す。
多分、機能は同じに違いない。
でも、前世と違うのは電気で動くのではなく、魔力で動くということだろう。

「魔道具の方は、これで何とかなりそうね」

その様子を見ていた私はほっと一息つく。
だが、これで問題がすべて解決したわけじゃない。
むしろ、これからが始まりなんだ。
新しいメニューやお店の立て直し、他にもいろいろやることが残っている。
でも、これは私一人で結論を急ぐ必要はない。
何故なら、今の私の周りにはたくさんの頼れる人たちがいるからだ。

「よし、私たちもお店の新装オープン、頑張らなくちゃ!」

サフランくんたちが頑張っている間、私たちも、私たちのするべきことをするだけだ。
そう意気込んでいたその時、窓の外に何かの気配を感じ取った。

「アリス、今の……」
「ええ……。魔物の気配よね……」

アリスも、その気配を察知したみたいだ。
表情に不安をよぎらせている。
私はため息をついて、何とか気持ちを落ち着かせた。

「魔物……」

アリスの言葉を反芻して、不安を払拭させるべく考える。
魔物が、私たちの動向を見守っていた。
この村に、聖女と大精霊がいるから?
そんな疑問がよぎったが、私は無意識に声を発していた。

「魔王の私が、私たちの案に興味を持ったからかも……」

そう考えると、脳裏に浮かんだ様々な疑問がすとんと胸の底へと落ちていく。
魔王の私は同じ前世を持つ、もう一人の私だ。
私たちが食堂の新装オープンにワクワクしたように、魔王の私もそれに関わりたいと思ったのかもしれない。

「そういえば、いたわね。分裂した時に、魔王になったわたしが……。確かに、この話を聞いたら、興味を持ちそう……」

私と同じ結論に至ったアリスがぽつりとつぶやく。
嫌な予感がした。
つまるところ、私たちの動向は魔王軍側に筒抜けの可能性がある。
今後、魔王の私が、テレビ番組に関わってくるかもしれない。
それにーー。

「ルージュ王国を魔物の脅威にさらしたのは、魔王の私よね」

思考の海に沈みそうになった意識を、現実に戻す。
アリスが、ジルハルト殿下に婚約破棄を突きつけられた原因の一端は魔王の私だ。

「そうだったわね。あの騒動のおかげで、ジルハルト殿下と婚約破棄できたし、感謝してもし切れないわ」
「感謝……?」

思わぬ発言に、私は戸惑いがちにアリスに尋ねた。

「だって、そうでしょう。あのままだったら、わたし、一生、ジルハルト殿下と離れられなかったかもしれないしね」

相変わらずのんびりした口調のまま、アリスは何とはなしに言葉を発する。