転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

テレビの精霊さんもほめられて、悪い気はしないみたい。
だが、肝心なことを思い出したのか、本題に入る。

『あの、星の大精霊、アウリス・クロエ様。女神様が、勝手に聖女と契約するなとわめいておりますが……』
「うっ……」

私は痛いところを突かれて押し黙る。
それを踏まえて、テレビの精霊さんは丁重に一礼すると進言した。

『そろそろ、転生の間にお戻りになられた方がいいかと』
「もう、転生の間には戻らないわよ! 私の将来の願いは、既に決まっています! 聖女の祈りに応えるのは、精霊の仕事ですから! これからは、自分の意思で生きていきます!」

私は鉛のような感情を吐き出す。
今まで我慢していたことを、ぜんぶまくし立てた。

『……はぁ、左様ですか……。では「有給休暇の長期取得」ということで、女神様には報告しておきますね』

テレビの精霊さんは転生の間で、苦難をともにした、長年の相棒だ。
私の苦労を、誰よりも理解しているだろう。

『では、言伝(ことづ)てを。テレビ番組を放送したら、絶対に女神様にも見せるように、と念押しされてきました』

そんな楽観的な私の考えに、テレビの精霊さんは水を差す。
テレビ番組を放送。
その言葉で、私は直感する。
……うん。
女神様は間違いなく、私の答えを見透かしていたわね。

「……分かったわよ」
『ありがとうございます。では、わたくしも全力で、テレビ制作に取り組んでいきます。何なりとお申し付けを』

憮然とする私の姿を認めてから、テレビの精霊さんは恭しく礼をした。

「ありがとう。早速、お願いしたいことがあるんだけど、しばらくサフランくんの助手になってほしいの。テレビ制作に必要な魔道具を、一緒に造り出してほしくて」
『かしこまりました』

テレビの精霊さんは一礼すると、サフランくんのもとへ向かう。

『初めまして、サフラン様。お役に立てるように頑張りますので、よろしくお願いいたします』
「ああ。こちらこそ、よろしくな」

サフランくんは躊躇いながらも、テレビの精霊さんに近づいていく。

「テレビ番組を放送するために、必要な魔道具か。そもそも、テレビの精霊自体がすごいな!」
『ありがとうございます』

サフランくんは、その精巧な造りに舌を巻く。

『まずは、テレビに必要な周辺機器を、魔道具として造り出すことが先決になります』
「分かりました。ご教授願います。まず、この『走査線』の魔力密度は……」
『仕様書によりますと……』

テレビの精霊さんの専門的な説明に、サフランくんは驚きつつも、さらに踏み込んだ話を始めた。