ごくまれに前世の記憶を持っている人がいる。
そして通常、それは一人の人物が新たな来世を迎えていた時に起こる事柄だけどね。
女神様の気まぐれか。
同じ前世を持つ者たちが、たくさんいる場合もある。
そして、今まさに、そんな稀有な存在の一人、星の大精霊の私、アウリス・クロエが地上に舞い降りた。
「早く、みんなと再会したいわね」
私たちには『日本の高校一年生の女の子だった』という記憶が、しかと脳裏に焼きついている。
いわゆる、異世界転生者というものだ。
日本の高校に入学したばかりの頃、通学途中に意識が朦朧としてきて、そのまま命を落としてしまったような記憶がある。
この辺りはひどく曖昧だ。
恐らく、何らかの病気だったのだろう。
だから、転生の間に来た直後、ひどく混乱したものだ。
何せ、女神様の凡ミスで、私の存在が11人に分裂してしまっていたんだから。
まさか、自分が分裂するという事象を経験するとは夢にも思わなかった。
さてさて、そんな破天荒な状況の中、星の大精霊の私、アウリス・クロエは、聖女の私に召喚してもらって、異世界『アルトクラン』の生活を堪能することにしたんだけど。
うーん。
でも、アウリス・リネットは最近、婚約破棄されたばかりなのよね。
声に変わる前の想いだけが、転生の間の空気にかすかに残った。
今すぐ、私の声を届けてバンザイ三唱したい気分だけど、冷静に考えれば、少しぶしつけなのでは?
そう思い至ったんだけど……。
……うん!
きっと、大丈夫よね!
私は素早く、腕まくりして、異世界に行くための準備を始める。
「まあ、同じ私だから、特段、気にしていないと思うし」
私はあっけらかんとしてつぶやく。
「そもそも、意中の公爵令嬢と結ばれたいために、聖女である私を捨てた。そんな相手、こちらから願い下げだもの」
私はこぶしを突き上げて力強く言った。
「言われるままに泣き寝入りするのは、聖女の名折れ! 星の大精霊である私と契約して、きっちり見返してやらなくちゃ!」
存在が分裂したとはいえ、元は『私』だ。
環境が変わったことによる変化はあるとはいえ、基本的なところは変わっていないはず。
理不尽な待遇。
ジルハルト殿下から、不当な扱いを受けた。
この婚約にもはや、未練はないだろう。
「星を司る大精霊、アウリス・クロエ様。どちらへ?」
「いつもみたいに、異世界『アルトクラン』の状況を見て回ってくるわ」
テレビの精霊さんの問いかけに、私はさらりと答える。
ついでに、聖女アウリス・リネットと契約してくるのだけどね。
とは言わずもがな。
ふわりと宙を回った私は早速、彼女がいる場所を探すことにした。
そして通常、それは一人の人物が新たな来世を迎えていた時に起こる事柄だけどね。
女神様の気まぐれか。
同じ前世を持つ者たちが、たくさんいる場合もある。
そして、今まさに、そんな稀有な存在の一人、星の大精霊の私、アウリス・クロエが地上に舞い降りた。
「早く、みんなと再会したいわね」
私たちには『日本の高校一年生の女の子だった』という記憶が、しかと脳裏に焼きついている。
いわゆる、異世界転生者というものだ。
日本の高校に入学したばかりの頃、通学途中に意識が朦朧としてきて、そのまま命を落としてしまったような記憶がある。
この辺りはひどく曖昧だ。
恐らく、何らかの病気だったのだろう。
だから、転生の間に来た直後、ひどく混乱したものだ。
何せ、女神様の凡ミスで、私の存在が11人に分裂してしまっていたんだから。
まさか、自分が分裂するという事象を経験するとは夢にも思わなかった。
さてさて、そんな破天荒な状況の中、星の大精霊の私、アウリス・クロエは、聖女の私に召喚してもらって、異世界『アルトクラン』の生活を堪能することにしたんだけど。
うーん。
でも、アウリス・リネットは最近、婚約破棄されたばかりなのよね。
声に変わる前の想いだけが、転生の間の空気にかすかに残った。
今すぐ、私の声を届けてバンザイ三唱したい気分だけど、冷静に考えれば、少しぶしつけなのでは?
そう思い至ったんだけど……。
……うん!
きっと、大丈夫よね!
私は素早く、腕まくりして、異世界に行くための準備を始める。
「まあ、同じ私だから、特段、気にしていないと思うし」
私はあっけらかんとしてつぶやく。
「そもそも、意中の公爵令嬢と結ばれたいために、聖女である私を捨てた。そんな相手、こちらから願い下げだもの」
私はこぶしを突き上げて力強く言った。
「言われるままに泣き寝入りするのは、聖女の名折れ! 星の大精霊である私と契約して、きっちり見返してやらなくちゃ!」
存在が分裂したとはいえ、元は『私』だ。
環境が変わったことによる変化はあるとはいえ、基本的なところは変わっていないはず。
理不尽な待遇。
ジルハルト殿下から、不当な扱いを受けた。
この婚約にもはや、未練はないだろう。
「星を司る大精霊、アウリス・クロエ様。どちらへ?」
「いつもみたいに、異世界『アルトクラン』の状況を見て回ってくるわ」
テレビの精霊さんの問いかけに、私はさらりと答える。
ついでに、聖女アウリス・リネットと契約してくるのだけどね。
とは言わずもがな。
ふわりと宙を回った私は早速、彼女がいる場所を探すことにした。



