転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

「テレビ番組放送による宣言の件はともあれ、聖女と大精霊様が、この村にいることはできる限り、公言しない方がいいかもな」
「そうね。村のみんなにも、そう伝えておくわ」

サフランくんの言葉に、アリスは深刻な表情でうなずいた。
公にできない。
じゃあ、私はテレビ番組に出演できないのかな。
世知辛い……世知辛いよ、世の中……!
心が軋む音。
アナウンサー兼レポーターとして頑張ろうと思った、私の高揚した心がしぼみそうになってくる。
だけど、そんな浮かない顔をした私に気づいたアリスが優しく語りかけた。

「アウリ、心配しないで。大精霊だとバレなかったらいいのよ。あなたは、わたしの遠い親戚ってことにするわ」
「アリス、ありがとう」

アリスの励ましに、私はほっと胸をなで下ろした。
良かった。
テレビに出演することはできるみたい。

「でも、さすがに、わたしの存在はバレそうよね。変装でもしようかしら」
「……もし気づいたらと思うと、肝が冷えるな。ルージュ王国が、何も仕掛けてこないことを祈るばかりだ」

テレビに出る気満々のアリス。
その様子を見て、サフランくんは頬に手を当てて、思案げな顔をする。

「大丈夫よ! バレなかったらいいんだから!」
「相変わらず、楽観的だな。先が思いやられる」

アリスの言い分に、サフランくんは呆れたようにため息を吐いた。
私は改めて真剣な眼差しで、サフランくんを見つめる。

「サフランくん、どうかな? 私たちの作戦に協力してもらえない? この放送技術は、サフランくんと私たちの『共同開発』。王宮が独占しようとしても、私たちにしか動かせないプロテクト……『精霊の契約』をかけるわ!」
「分かった……じゃなくて、状況は分かりました。今の段階でできるとはお約束できませんが、やってみます」

サフランくんはぶっきらぼうだけど、根は優しいみたい。

「ただ、テレビ番組を放送するために、必要な魔道具の製作方法が曖昧な部分が多く、かなり試行錯誤が必要かと思います」
「そうね。実物がないと、イメージが湧きにくいわね。まずは、テレビの精霊さんを見てもらおうかな。テレビの精霊さん、出てきて!」

私は思案すると、両手を広げて、精霊を呼び寄せる。

『お呼びですか? 星の大精霊、アウリス・クロエ様』

日本の家電の一つ、テレビに似た精霊さんが目の前に姿を現した。

「なんだ、この精霊! すごいな! この……『画素』にあたる部分は、極小の光の精霊を並べているのか!?」
『どうも』

サフランくんは衝撃が走ったように、筐体の質感や、画面の構造を食い入るように観察する。
サフランくんが驚いたのも無理はない。
テレビのような精密機器は、この世界にはないからだ。