転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

「よし、出てきて! 冷蔵庫の精霊さん!」

私は両手を広げて、精霊を呼び寄せる。

『お呼びですか? 星を司る大精霊、アウリス・クロエ様』

私の呼び声に従って、小型の冷蔵庫のような精霊さんが目の前に姿を現した。

「クレープを作りたいの。卵と牛乳、フルーツを出してもらえる?」
『かしこまりました』

私は冷蔵庫の精霊さんを呼び出して、必要な材料を出してもらう。
精霊の力を借りれば、材料や調理機器などを調達しなくてもいいので、コスト削減につながる。
さらにアリスの聖女の力を使えば、その料理を食べただけで傷が癒えたり、病気予防にもなる。
お店に客が来るようになれば、大繁盛になることは間違いないだろう。

「クレープか。初めて聞く料理だな」

アリスのお父さんは初めて聞く料理に、料理人魂に火がついたのか、楽しそうだ。
卵と牛乳、小麦粉を混ぜて生地を作り、熱したフライパンで焼いていく。
小さく切ったフルーツをたっぷり乗せて、その上に泡立て器でふんわり泡立てた生クリームを乗せた。

「これを巻いたらいいのかい?」
「うん、お父さん」

アリスの説明を聞きながら、アリスのお父さんはくるくると生地を巻いていく。

「よし、完成!」
「とてもおいしそうね!」

出来上がると、私たちは席について早速、試食してみた。
生クリームとフルーツたっぷりのクレープは、華やかで見栄えもいい。

「おいしい!」
「うん! クレープ、最高!」

一口かじると、口の中に幸せが広がっていく。
生クリームとフルーツが、絶妙なハーモニーを奏でている。
しかも、食欲をそそる柔らかな香り。
お腹も心も満たされて、私とアリスの表情がぱあっと花咲いた。

「パンケーキもおいしかったけれど、これもおいしいな! 身体が、芯から温まるようだ!」
「甘くてとろけるような味ね!」

アリスの両親も気に入ってくれたようだ。
満足感に満たされているみたい。
大変な時こそ、おいしいものを食べる。
これが心を折らないで生きるコツだ。

「よし、新しくメニューに出すクレープの方は準備万端ね。問題は、お店の宣言よね!」

私は女神様専属の異世界TVのアナウンサーをすることになってから、この世界の食事情を調べ回った。
大衆食堂や高級料理店まで見て回った。
とは言っても、実際に食べ歩いたわけではない。
女神様に、今の食事情を報告するためだったから、店内の様子をのぞいていただけだ。
だけど、やっぱり、実際に食べてみたかったので、女神様に報告した後、呼び出した精霊さんにこっそり頼んで、同じ料理を出してもらっていた。