転生したら、女神様の凡ミスに遭いました

少なくとも、この村の人たちは、私を『女神様専属の異世界TVのアナウンサー』じゃなく、『星を司る大精霊、アウリス・クロエ』として認めてくれている。
そう思うと、凍てついた心に温かい光が差し込むようだった。

アリスの両親は、行くあても住む場所もなく、途方に暮れていた私を温かく迎えてくれた。
この恩に報いるためにも頑張らなくちゃ!

できる限りのことを、精一杯やろうという意欲が湧いてくる。
ひととおり部屋を回った後、私は店内をもう一度見た。

「さて、まずは掃除しなくちゃ」

薄汚れている店内は、旅人たちにとっては外聞がよくない。
訪れた旅人たちの心証を悪くすることは避けたかった。

「アウリ、わたしも手伝うわ」

その様子を見ていたアリスが声をかけてくる。

「生活魔法で掃除するの?」
「うん。時間がかからないし、負担も少ないからね」

その答えに、私は「なるほど」と納得した。
前世ではホウキや掃除機などを使っていたけれど、今世では魔法がある。
魔法は便利だ。
かなり手間を減らせる。
しかも、私たちは、他の人には使えない万能な魔法やスキルも持っている。
もちろん、それは他のアウリスたちにも言えるのだけどね。
私たちは全員、現代知識チート状態。
しかも、みんな、規格外のスキルを持っている。
お気楽ご気楽結果オーライな女神様さえも、さすがに危惧して、私を異世界TVのアナウンサーに任命したくらいだ。

「よし! これなら、すぐに終わりそう!」

私はしっかり背筋を伸ばし、この世の終わりを迎えたような顔をしているアリスの両親に優しく声をかけた。

「アリスのお父さん、お母さん、安心してください。きっと、うまくいきます。お店は以前のような活気を取り戻しますよ」
「でも……」

アリスのお母さんは、しゅんと肩を落としてしまった。
その落ち込みようは、会ったばかりであるが、気の毒になってしまう。

「大丈夫です! 見ていてください! ねえ、アリス!」
「ええ。二人がかりなら、あっという間に掃除は終わりそうね!」

アリスが宣言したとおり、お掃除ロボットのような容姿の精霊さんと生活魔法を駆使したことによって、瞬く間に店内は綺麗になった。
窓から明るい外の光が差し込んでいて、テーブルやイスは早く使ってほしいとばかりにキラキラと輝いている。
もはや、店内には、お店が潰れそうだなんて、暗いイメージはどこにもなかった。

「す、すごいっ! こんな精霊は見たことがありません!」
「テーブルもイスも、ピカピカ……! アリスの魔法、すごいわね!」

綺麗になったお店を見て、アリスの両親はどよめく。