好き避け年下幼馴染は、拗らせすぎ!? ソフレ契約、勝手に破んなよ!

 一方その頃、電話を切った後の光と歩夢は——。
「マジ、ごめんって。そんな怒んなくても良いだろ」
「フンッ」
 光が歩夢に頭を下げながら、出口ゲートを通過した。
「じゃ、オレは帰るから。付いて来ないで」
「付いてくんなって言われても、家、隣同士だろ」
「時間差で帰れば良いじゃん」
「面倒くせぇよ。電車の時間ずらしたりとかさ。てか、両親来るんなら、はなから来なけりゃ良いだろ? なんで来たんだよ」
 苛々しながら聞けば、歩夢は歩くスピードを早めた。光も負けじと付いて行く。
「両親なんて来ないよ」
「は? でも、さっき」
「そうでも言わないと、宗一郎が帰らないから」
「え……」
「それに、元はあの二人を二人きりにさせる為にチケットプレゼントしたのに、何故か複数人で行くことになるし。オレ以外を誘われたら台無しじゃん」
 早口で言う歩夢の言葉を光は汲み取った。
「お前、アイツらの恋のキューピットしてんのか?」
「恋のキューピットって程じゃ……」
 照れたように視線を逸らす歩夢に、光は一人納得したように頷いた。
「なるほど。だから、俺と綾人の邪魔したのか。けどさ、お前、宗一郎の元カレって……」
「元カレだからって何? 好きな人に幸せになってもらいたいって思っちゃダメなの? オレはさ……」
 歩夢の歩が緩やかになった。光も同様にゆっくり歩けば、歩夢は儚げに言った。
「オレだって、まだ宗一郎が好きだよ。好きだけど、綾人さんには叶わないって分かったから……」
「歩夢……」
 光は、歩夢の頭をクシャクシャッと撫でた。
「ちょ、やめてよ」
「お前、案外良いやつだな。それに、この短期間で綾人の素晴らしさが分かるとは」
「短期間じゃないよ。一年じっくり観察してた」
「は?」
 光の手が止まった。
「もしかして、綾人のストーカーって」
「君もストーカー呼ばわりしてくるの? オレはただ、どんな人かなぁってこっそりと見てただけだよ」
「それを一年やってたら、明らかなストーカーだよ!」
 突っ込みつつも、綾人のストーカーが歩夢で良かったと安堵する光。
「まぁ、その感じじゃ、綾人に危害加えたりはないんだろうけど」
「危害? 酷いな」
 歩夢は、光の手を払いのけて続ける。
「オレは、中々素直になれない宗一郎の代わりに、どれだけ宗一郎が綾人さんを好きなのか伝えようとしただけだよ」
「どんだけ好きなんだ?」
「オレを抱きながら、綾人さんの名前を呼ぶ程だよ」
「ガチで?」
「ガチで」
 呆気に取られる光は、肩を落とす歩夢の肩を組んだ。
「ちょ、一々なんなの!? ウザい!」
「まぁまぁ、失恋した者同士、仲良く飲もうぜ」
「は? やだよ」
「案外俺ら、上手くいくかもよ?」
「行くわけないじゃん」
 ——しかし、そう遠くない未来、光と歩夢のケンカップルが誕生することになろうとは、まだ誰も知らない。