宇佐美は父さんの前まで大股で歩み寄ると、行く手を強引に阻んだ。
「なんだね、キミは」
父さんが不快そうに眉を寄せる。
しかし宇佐美は一歩も引かず、鋭い視線で父さんを睨みつけた。
「あんた、それでも親かよ」
「……なんだと?」
宇佐美の声は怒りで震えていた。
「上っ面しか見ないで判断して帰って、政治家ならもっとしっかり中身を見たらどうですか?」
「……っ!」
ピリリ、と空気が凍りつく。
父さんの目がスッと細められた。
そして冷ややかな声で吐き捨てる。
「キミは、誰にものを言ってるのかね?」
威圧的な言葉。
いつも父さんが俺にがっかりした時に使う言葉だ。
「宇佐美、やめ……っ」
俺が止めようと声を出すより早く、宇佐美は言い放った。
「俺は、あんたが時間の無駄だと切り捨てたこの人の、一番近くにいた人間として言ってるんだ」
宇佐美の拳がギュッと握りしめられているのが見える。


