「父、さん……来てくれるなんて嬉しいよ!時間があるなら見ていってほしい。生徒会のみんなと作ったんだ」
父さんが学校に来るなんて、入学式以来だ。
仕事人間で、厳格な政治家である父。
まさか本当に来てくれるなんて思っていなかった。
俺は喜びを感じながら駆け寄ろうとした。
しかしその瞬間、父さんは冷え切った声で言った。
「最後くらい見届けてやろうと思って来たが……時間の無駄だったな」
「え……」
「そんなふざけた格好をして生徒会長をしてるなんて想像もしなかった」
口がカラカラに乾いていく。
父、さん……。
そうだ、俺は……メイド服を……。
すると父さんは俺に背中を向けた。
「唯人にはがっかりだ」
ガツン、と頭を殴られたような衝撃が走った。
そん、な……。
「父さん、待って!俺は……っ」
しかし父はなにも言わずに歩きだしてしまう。
待ってくれ。
ひきとめたいけど、足が動かない。
俺は……っ、俺はまた失敗した?
手が震える。
その時。
「待てよ!」
後ろから大きな声が響いた。
俺の横を風が通り抜けていく。
その背中は、見間違えるはずもない。
宇佐美だった。


