本当はずっと怖かった。
彼の底知れない気迫も、持っている才能も勢いも全部。
思わず一歩下がると。
「……っ!」
──グラッ。
何かのコードに足を引っ掛けてしまう。
倒れる! 身体が後ろに傾いていく瞬間。
「……っと、」
ガッチリとした宇佐美の腕が俺の腰を抱き寄せた。
――ドキン。
体格が全然違う……。
俺の細い腰なんて、片腕で簡単に抱え込まれてしまう。
「危ないですよ、先輩」
顔を上げればすぐ目の前に彼の端正な顔がある。
「……っ!」
そしてゆっくりと彼の顔が近づいてくる。
――食われる。
飢えた野獣のような顔。
気を抜くと一瞬で狩りつくされそうな感覚。
そして彼は言った。
「俺も負けませんから」
ああ、やっぱり。
この感覚は間違いじゃなかった。
彼は俺を 生徒会長の座から引きずり下ろそうとしている――。


