「そう、ですか」
ありがとう、と伝える前に彼は背中を向けてしまった。
「あ……」
虚しく閉められた扉を見つめ、俺は深いため息をついた。
最近、宇佐美はこんな態度ばっかりだ……。
いつもなら強引にでも俺のやる仕事を奪いそうなものなのに、今はなんか……関心がないみたいでそっけない態度を取られている。
あの日のことを怒っているんだろう。
謝りたいとは思ってる。
でも……許してくれないよな。
「1人で頑張ろう……」
ひとり残された教室でポツリとつぶやく。
誰もいないというのは案外寂しいものだった。
結局今日の仕事が終わったのは夜8時頃。
薄暗い中、ひとりとぼとぼ帰っていると、珍しく家の電気がついていた。
母さんと父さん、どっちか帰ってる!?
俺は急いで玄関のドアを開けた。
「ただいま」
ドアを開けると、そこにいたのは忙しそうな母さんの姿だった。
久しぶりだ。
こんな時間に帰ってくるのは。
俺は急いでリビングに向かった。
そこにいたのは母さんだった。
「今日帰ってたんだ! 夕飯まだだから一緒に……」


