「はぁ、ん……」
頭がクラクラする。
酸素が追いつかない。
「……っ、」
その時。
――ガチャリ。
無機質な音が鼓膜を揺らした。
ドアノブが回る音だ。
「……っ!」
全身の血の気が引く。
ああ、もうダメだ。
終わった……!
身体が恐怖で硬直する。
宇佐美の背中に回した手が、震えながら彼のシャツを握りしめた。
しかし。
「あれ、開かない……?」
外から不思議そうな声が聞こえる。
扉が開くことはなかった。
パタパタと足音が遠ざかっていく。
……え?
呆然とする俺の唇から、宇佐美がゆっくりと離れていった。
なにが起きたのか分からない。
そんな俺を見て、宇佐美は口元を拭いながらフッと笑った。
「鍵、閉めたの気づきませんでした?」
「は……?」
「先輩の焦った顔、可愛かったです」
こいつは、鍵が掛かっていることを知っていて……。
俺の反応を見て楽しんでいたんだ。
最低だ。
そうやって俺をオモチャにして、笑うのが楽しいんだろう。
悔しさが込み上げてくる。
宇佐美にとって俺は、ただの暇つぶしの道具でしかないんだ。
本当に最低なやつだ。
「……触るな!」
伸ばされた宇佐美の手を、俺はパシンと強く振り払った。


