持っている書類を無駄に揃えて動揺を隠した。
「先輩はもちろん立候補するんですよね?」
そりゃそうだ。
生徒会長になれなけばなんの意味もない。
学校を背負って立つ。
それでこそ、吉永家の顔だ。
「当然だろう。誰にも負けるつもりはない」
「そうですよね」
彼がそう言った後。
「……良かった」
宇佐美は小さくつぶやいた。
良かった?どういう意味だ?
違和感を覚えて振り返ると、俺のすぐ後ろに宇佐美は立っていた。
近い。
宇佐美はじっと俺を見下ろしている。
それも、獲物を狙うような熱っぽい瞳で。
「先輩」
宇佐美がゆっくりと俺との距離を詰める。
――ビクッ。
「なんだ」
強気でそう言ったものの、とっさにに本能が警鐘を鳴らす。
ああ、そうか。分かった。
宇佐美は俺を生徒会長の座から降ろそうとしてるんだ。
「く、くるな!」


