宇佐美の顔がぼやけて見えなくなった。
「そんなの決まってるじゃないですか」
宇佐美の声色が、ふと優しくなる。
そして彼は俺をまっすぐに見つめながら言った。
「嫌だからですよ。先輩が壊れていくのを見るのは」
包み込むような優しい言葉。
分からない。
あいつの、こういうところが。
「こっち、来てください」
宇佐美は俺の腕をグイッと引く。
「な、に……」
よろめいた身体は、簡単に彼の懐へと収まった。
至近距離にある端正な顔。
宇佐美の親指が、俺の目尻に溜まった涙をゆっくりと拭う。
熱い。
その指先から伝わる体温に背筋がゾクリと震えた。
「本音、吐き出す練習しましょうか」
「えっ」
宇佐美がそう告げた瞬間。
トン、と肩を押される。
視界が反転した。
あらがう隙すら与えられず、俺の身体は後ろへと倒れていく。
俺の身体を受け止めたのは、生徒会室にある革張りのソファだった。
「ちょっ、なにして……」
ドンッ、と背中に衝撃が走る。
逃げる間もなく俺を押し倒し、覆い被さってくる宇佐美。


