しかし彼はそんなこと気にもせず、平然とした顔で言った。
「出来るからやるんじゃ、誰も先輩に心開いてくれないと思いますけど」
――ドクン。
嫌な音が心に響く。
誰も、心を開かない。
その瞬間、蘇る記憶。
『会長に任せとけばなんでもやってくれるからいいじゃん』
『吉永って正直どういう人なのか分からないっていうか……』
『生徒会長っていうイメージしかないんだよな』
中学の頃。
俺は理想の生徒会長でいるのに必死で、人付き合いが上手く出来なかった。
頑張って物事を成し遂げても……誰かと分かち合うことが出来ない。
共に喜び合うことが出来ない。
その寂しさを知っている。
でも……そうでもしなきゃ、俺の居場所はなくなってしまう。
なんの取り柄も無い俺が、みんなの代表である生徒会長になったんだ。
がむしゃらに頑張るしか、周りに認めてもらえない。
「俺がやらないと……」
『吉永唯人? 誰だっけ?』
『ああ、隣のクラスのガリ勉だろ』
『唯人、疲れてるんだ。後にしてくれないか』
『唯人、母さん仕事行ってくるから一人で晩御飯食べててね』
周りは誰も俺を必要としてくれない。


