『生徒会にご協力お願いします!』
生徒たちへの挨拶回りでも、愛想よく笑顔を振りまいている。
『宇佐美くんってカッコいいよね』
『気さくだけど、頼りになるし』
彼を慕う者は本当に多い。
『次の選挙、宇佐美くんが会長に立候補するのかな?』
『そしたら絶対投票する!』
『俺も俺も!』
今は俺を立てて、一歩引いた立場で仕事をしてくれているけれど いずれ……。
『今日から生徒会長になりました宇佐美直人です』
彼は俺を抜き去ってトップに立つんじゃないか。
そう思わずにはいられなかった。
俺にはない愛嬌と才能を持っている彼。
そんな彼のそばにいると、焦燥感ばかりが募っていく。
「先輩? 唯人先輩! ぼーっとしてますけど大丈夫ですか?」
「っ、悪い……」
先生の話が終わり、生徒会室に戻った俺たち。
宇佐美の声でハッと我に返ると、二人きりの部屋で彼がポツリと話し始めた。
「来月、生徒会選挙ありますよね」
「えっ、ああ……」
ちょうど考えていたことを言われて心臓が跳ねる。


