すると、宇佐美はいつも以上に低い声で言った。
「さっき触るなって言いませんでしたか?」
「ぁあ?……ヒッ!」
彼が男の手首を握る。
ギリギリと宇佐美が手を握る音が聞こえてくる。
そして宇佐美は不良たちの耳元でなにかをつぶやいた。
その時なにを言っていたのかまでは分からない。
でもさっきまで粋がっていた不良たちの顔はさあっと青ざめていて、なにが起きたのか分からないくらい素直になった。
「ゴミ、拾えますよね?」
「わ、わかりました」
腕を掴んできた男はそそくさと吐きだしたガムを拾う。
「す、すみませんでした」
そして逃げるように、その場所を走り去った。
な、なにが起こったんだ……?
彼がくるりとこっちに向き直る。
するといつもの穏やかな笑顔で手をパン、と叩いた。
「さ、邪魔ものはいなくなりました。みなさん続けましょうか」
なにごともなかったような顔してるけど……。
絶対すごい顔して脅したよな?


