「それだけは絶対守ってくださいね」
命令って言っておきながら、俺の仕事を軽くして、体調まで心配して……。
この男は本当に何を考えているのか分からない。
「そういうことなんで」
彼が書類を持ったまま生徒会室から出て行こうとした時、ドアの前でピタリと足が止まった。
「……岩田さんといる時の会長」
??
「ああいう、顔もするんですね」
「は?」
間抜けな声が漏れる。
問い返す暇もなく宇佐美は部屋を出て行った。
パタンとドアが閉まる音が響く。
学と一緒にいた時の俺……どんな顔をしてた?
もしかして変な顔してたのか!?
クッ……。
寝不足だったからだ!
きっと気を抜いているところを見られていたに違いない!
気を付けねば……!
――キーンコーンカーンコーン。
「ヤバい……急がなきゃ」
予鈴が鳴り、俺は慌てて教室へと戻った。


