「返せ。俺がやるって決めたんだ!」
「先輩……」
「だいたい……俺から仕事をとって目立とうなんて許さないからな!」
威嚇するようにそう言い放つと、宇佐美は呆れた声で言った。
「何を言ってるんですか、会長の仕事を取ったってしょうがないでしょ」
「なっ……じゃあなんで……」
「無理してほしくないんです」
まっすぐな声が俺の心に入ってくる。
「えっ」
「誰かに頼めることは頼んでください」
宇佐美の言葉に俺は拍子抜けしながら答えた。
「だってみんな疲れてると思うし……」
「じゃあ俺に頼んで。一人で無理するのはやめてください」
俺は宇佐美の言葉に黙ってしまった。
「なんでそんなこと宇佐美が言うんだ?」
だって俺のこと嫌いなんだよな?
だったら、俺が忙しいのを見て見ぬフリをしていればいいだけだ。
「それは……あなたが倒れられたら困るからです」
――ドキン。
何だよ、その顔。
いつも余裕の宇佐美が必死にそんなことを伝えるから、俺は戸惑ってしまった。
「困るって……」
どういう意味だ?
俺が倒れたら、宇佐美に仕事が回ってくるから……?
突然仕事が来るのは迷惑だからって、そういう意味か?
分からない。


