「うわ、ウソだろ……最悪だ」
顔から火が出そうだ。
完璧な生徒会長として、身だしなみは基本中の基本なのに、寝ぐせなんて……。
「ははっ、いいじゃん別に。完璧な唯人にも人間らしいとこあるんだなって安心したわ」
「うるさいぞ……」
ケラケラと笑う学につられて、俺も力が抜けていく。
俺の失敗をこうして笑い飛ばしてくれる友達は少ない。
張り詰めていた糸がふっと緩むのを感じて、俺も自然と笑みを浮かべた。
その時。
「先輩、おはようございます」
いつもより低い声で宇佐美が割って入ってきた。
「ああ、宇佐美。おは……」
「岩田さんは体育館裏の掃除に回ってもらっていいですか?ここは人手が多いので」
俺の挨拶を遮ってそんなことを言う宇佐美。
多いか?ここ……。
「あ、ああ。分かったよ」
冷たい声色の彼に学も戸惑いながら、体育館裏へと移動していった。
「別にそんなに人手多くないだろう?」
ここにいるのは今のところ、俺と学と宇佐美だけ。


